親娘バトルに勝利した大塚家具の久美子社長、早くも崖っぷちに(前)
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(株)大塚家具の大塚久美子社長の“脱・父親”路線は、失敗だったのか――。昨年3月の株主総会で父とのバトルに勝利してから1年余。久美子氏の経営者としての手腕が問われ始めている。大塚家具は、2016年12月期の業績予想を大幅に下方修正。過去最大の営業赤字、最終赤字に転落する見通しだ。
2度の下方修正で株価は暴落
大塚家具は8月5日、16年12月期の業績見通しについて下方修正した。今期に入って、2度目の下方修正だ。 16年12月期の単独最終損益は、期初予想では3億円の黒字だったが、6月に16億円の赤字、さらに8月に43億円の赤字と下方修正し、赤字幅が拡大した。6年ぶりの最終赤字になる。
同日発表の16年12月期第2四半期(1~6月)の売上高は前年同期比20%減の240億円、営業利益は19億円の赤字(前年同期は4億9,300万円の黒字)、純利益は24億円の赤字(同3億5,900万円の黒字)だった。
一方、同社は、業績予想の下方修正と同日発表した中期計画の中間レビューで、大都市圏への大型店小数展開から広域への小型店を含めた多店舗展開にシフトしていくという新店舗政策を発表した。その内容は、売り場面積2万m2を超える超大型店2店舗(有明本社ショールーム、大阪南港ショールーム)を旗艦店舗として継続する一方、2万m2未満の店舗については絞り込みをしつつ、3,000~7,000m2規模の新標準店舗を多店舗展開していく。
また、2,000m2未満の小型店や地方百貨店への出店なども行っていく。中小型店舗を中心とした展開で、1店舗あたりの必要人員が減り、効率的な人員配置が期待できる。
2度目の下方修正を受けて株価は急落。週明けの8月8日、一時、前週末比101(9.9%)安の915円まで下落した。年初来安値を更新し、14年3月以来、2年5カ月ぶりの安値だ。
父親とのバトルが連日ワイドショーを賑わしていたとき、プロキシーファイト(委任状争奪戦)の思惑から株価は2,488円(15年3月3日)に急騰した。その高値から6割の大暴落だ。今回発表された新店舗政策が業績に結び付くまでは時間がかかるが、まずは、その発表を受けた市場の評価が注目されるところだ。父親がつくった「会員制」のビジネスモデルから決別
大塚久美子社長は15年3月の株主総会で、創業者の父親の勝久氏との壮絶な経営権争奪戦に勝利した。社長就任後、勝久氏がつくり上げたビジネスモデルと決別した。
勝久氏のビジネスモデルは、会員制による接客重視という手法だ。久美子氏は会員制を廃止。誰でも気楽に入れる店舗へと転換し、顧客に必ず付き添っていた接客手法もやめた。さらに、高級家具の売り場を縮小する一方、中価格帯を強化するなど普通の家具店にした。
父親と決別した最初の決算。大塚家具の15年12月期の単独決算は、売上高は前期比4%増の580億円、営業利益は4億3,700万円の黒字(前期は4億200万円の赤字)に転換した。経営権をめぐる混乱に対するおわびとして昨年春に実施した「お詫びセール」や、昨年末の店舗改装前の「全館全品売り尽くしセール」が堅調だったことによる。
リニューアルなど本格的なビジネスモデルの転換が始まったのは、今年に入ってからだ。2月に全店を改装し、品ぞろえも中価格帯中心に改めたが、目立った購買増につながらなかった。
(つづく)
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