韓国化粧品の成長は続くのか?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
それから、韓流のブームに乗って、化粧品の成長にも目を見張るものがある。
最近、ゴールドマン・サックスと、ボストンに本社を置く世界的なプライベート・エクイティ・ファンドであるベインキャピタルは、韓国の化粧品会社である「カバーコリア」を買収すると発表し、話題になっている。とくにベインキャピタルの場合、韓国の初投資先として化粧品会社を選んだことで、業界ではその意義は大きいと評価している。
カバーコリアはこの発表によって、企業価値が一気に6億7,500ドルという評価を受けている。投資会社だけでなく、世界最大のファッション業界大手企業体であるフランスのLVMHも、韓国のクリオという化粧品会社の買収を発表している。LVMHはルイヴィトン、クリスチャンディーオール、ジバンシーなどの有名ブランドを抱えている会社である。LVMHは化粧品事業を展開するため、エンターテインメント会社であるYGグループに投資をしたことがあるが、それに次いで化粧品関連では2番目の投資になる。
このような投資の背景には、韓国化粧品会社の中国での躍進がある。中国での躍進がグローバルに広がるかどうかはまだ断定できないが、そのような可能性も見込んで買収が行われたことは間違いないだろう。このほかにも、エステローダの韓国化粧品会社の買収などがある。
韓国の輸出が低迷しているなかで、化粧品は、唯一奮闘している品目である。化粧品は2013年から50%以上の輸出成長を記録している。15年の輸出実績は前年対比53.1%の増加で、金額では20億4,500ドルを記録している。このような成長の背景にあるのは、韓流の影響だ。とくに、韓国の映画とドラマの輸出は、14年の場合で前年対比340%も伸びている。このように映画とドラマがまず現地に入り、その後、化粧品などが販売されるようになる。
このような現象は、化粧品会社の最大手であるアモーレパシフィックの実績にも良く現れている。アモーレパシフィックの時価総額は14年から15年にかけて4倍になっており、220億ドルに達している。それから、インターネットを通じた外国からの購買も増加している。オンラインショップからの外国人の購買は11年に比べ5,000%くらい増加し、購買金額は1,200万ドルになっているようだ。それほど大きな数字とは言えないが、今後、数字が伸びることは間違いない。
しかし、化粧品の展望は、明るい話題ばかりではない。韓国の化粧品輸出の半分以上を中国が占めている。中国で万が一何かがあった際には、ショックは大きくなる。そのような懸念が、最近現実になりつつある。中国は、韓国が米国の要請でTHAADミサイルを配備したことを不満に思い、目に見えないかたちで制裁を始めている。複数ビザ発行要件の強化、衛生検査の厳格化など、徐々に韓国に圧力をかけ始めている。それに、中国経済の失速や、輸出の減速、人民元の切り下げなどの不確実要素が増え続けている。
今後、韓国の化粧品は成長を続けることができるのか、正念場を迎えていると言えよう。
(了)
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