DRAM不況と業界再編(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
世界経済の低迷やPC需要の減少、携帯電話需要の伸び悩みなどが影響し、DRAM業界は厳しい時期を迎えている。
だが、このような状況であるにも関わらず、DRAM製造の上位3社のサムスン電子(韓)、SKハイニックス(韓)、マイクロン(米)は、それぞれ増産計画を打ち出し、DRAM価格は下げ止まらない状況である。市場が成長していた少し前までは、3社とも数兆ウォン単位の利益を出し、3~4年間にわたって安定した成長を謳歌していた。しかし、現在は不況が到来し、市場には変化が起きている。今回、DRAM市場ではどのような変化が起きているのか、それを取り上げてみよう。
まず、世界DRAM市場3位にランクされているマイクロンは、コロラド州のロングモント工場社員70名の解雇を皮切りに、今後、全社員の2.4%に該当する2,400名をリストラする計画である。このようになった背景には、マイクロンがDRAM価格下落の影響をもろに受け、今年の上半期に3,200万ドルの赤字を計上するようになったからである。
一時期、マイクロンは中国のチンファ・ユニーグループに買収されるという噂も流れたが、結果的には米国政府の反対があり、売却は実現されなかった。しかし、マイクロンが苦境に陥ることによって、再び買収の話が持ち上がるかもしれない。一方、業界2位のSKハイニックスは、上半期の営業利益を1兆150億ウォン計上した。SKハイニックスの上半期の実績は、利益は出ているものの、前年対比で営業利益が3分1に大幅に減少している。SKハイニックスの売上高のなかで、DRAMの占める割合は76%である。そのためSKハイニックスも、DRAM価格下落の影響を避けられなかった。
後で出てくるが、SKハイニックスはサムスン電子と競合するためには、微細化技術にもっと投資をする必要があるが、営業利益が減ったことでそれもままならない。SKハイニックスはDRAMへの投資だけでなく、今後、成長が予想されるNAND型フラッシュメモリへの投資も不可欠である。そうしたこともあって投資が分散されてしまうため、SKハイニックスがサムスンとのDRAMの収益差を縮めることは厳しい状況だ。
最後に、業界1位のサムスン電子だが、今年の上半期に5兆2,700億ウォンの営業利益を計上した。前年対比では営業利益は10%くらい減少しているものの、それでもサムスン電子はDRAM価格が下落しているなかで、他社に比べてかなり良い成績である。それによってサムスン電子は、結果的には2位、3位との差をもっと広げている。
(つづく)
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