2024年11月27日( 水 )

九州地銀の第1四半期(17/3)を検証(3)

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2.九州地銀の貸出金残高(16年6月期)について
 別表は九州地銀18行の貸出金残高順位表である。順位の変動があった。

<この表から見えるもの>
 第1位の福岡銀行は8兆3,016億円(前期比410億円増)と圧倒的な強さを見せている。第2位は西日本シティ銀行で、6兆5,430億円(同911億円増)。貸出金についても福岡銀行の倍以上増加させており、活発な動きを見せている。
 第3位に変動があった。肥後銀行は15年3月期は第3位だったが、16年3月期では同じ九州FG傘下の鹿児島銀行にその座を奪われて第4位に転落。
 しかし16年6月期は前期比+442億円の2兆8,751億円となり、鹿児島銀行の2兆8,707億円(前期比64億円増)を抜いて再び第3位の座を回復。甲斐隆博肥後銀行頭取(兼九州FG会長)と上村基宏鹿児島銀行頭取(兼九州FG社長)の面子を賭けた順位争いは、当分続くことになりそうだ。

 下表の十八銀行と親和銀行の動きを見ていただきたい。12年3月期の十八銀行の貸出金は1兆3,065億円。親和銀行は1兆2,966億円。その差はわずかだが第7位は十八銀行だった。しかし13年3月期に逆転され、3期連続して8位の座に下っていたのだ。
 だが今年2月に十八銀行がふくおかFGと経営統合を発表すると、その影響は大きく、16年3月期に念願の第7位の座を取り戻したのだ。十八銀行首脳が、ふくおかFGとの経営統合という苦渋の決断をした裏には、『このまま競争して互いに傷つくよりも一緒になった方が良い』との思いがあったのではないだろうか。 h2 16年6月末の貸出金残高が、15年3月末よりも減少している銀行は、第13位の筑邦銀行(▲7億円)と第15位の豊和銀行(▲21億円)の2行。今年1月29日、日銀のマイナス金利政策の実施は、貸出ボリュームの小さい銀行にとっては、さらに大きなハンディとなっているようだ。
 また16年6月期の貸出金が前期比マイナスとなっている銀行は、大分銀行、宮崎銀行など8行もあり、人口の減少に伴う地域経済の縮小の影響が、地方銀行の業績低迷に拍車をかけている現状が見て取れる。
 それを表しているのが預貸率(貸出金/総預金)。一番低いのは大分銀行の61.7%。次が親和銀行(62.97%)と筑邦銀行(63.01%)。以下十八銀行(63.3%)、肥後銀行(65.1%)と続くが、いずれも第一地銀。この中で経営的に一番厳しい状況に直面しているのは、貸出金が五千億円に満たない筑邦銀行と見られており、その動向に注目が集まっている。

<まとめ>
 貸出金残高から見ても、ふくおかFG、西日本FH、九州FGの強さが際立っており、今後予想される九州地銀の再編は、この三グループを中心に進められていくことになりそうだ。

(つづく)
【北山 譲】

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