東ヨーロッパには何があるのだろう(22)
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ここはハンザ同盟の本拠地
ドイツから離れて異民族との交易をしていたドイツ商人だが、そこには時として先住していた民との抗争が発生した。その対策として生まれたのが、「ハンザ同盟」と言われる。その商館は、イギリスからロシア、そしてバルト海沿岸のあちこちの都市に置かれ、軍隊まで持って数百年の繁栄を謳歌する。
仲間はずれの仕返し
リガの歴史地区には、ユニークな言い伝えの建物もある。それは「猫の家」と呼ばれており、屋根のてっぺんに2匹の猫が尻尾を立てている。
ハンザ同盟に加入を申請したものの、ラトビア人という理由で入会を拒否された裕福な商人が、同盟の商館に尻を向けた猫を乗せた邸宅を建てた。もちろん、ハンザ側から抗議を受けたが、「私の猫には私と違って自由がある」と、それを受け流したという。その後、加盟を許され、猫の尻を反対側に向けたのだという。貿易商人の意地が垣間見える、何とも微笑ましい逸話ではないか。しかし、歴史を振り返ると、12世紀から栄華を誇ったハンザ同盟も15世紀を過ぎる頃から急激に衰え始める。大規模な軍備を持った重商主義の君主国家の台頭、航海術の進歩とそれによる輸送力の高まりが、陸上輸送と限られた範囲での海上交易という形態が主力だったハンザ同盟の力を削いだのだろう。大航海時代が始まると、陸路中心の近隣国家同士の交易は見る間に衰退した。
時代の流れに添い寝できなければ、どんな組織も滅び去る運命にあるのは、何もハンザ同盟に限ったことではない。(つづく)
<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。関連記事
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