東ヨーロッパには何があるのだろう(23)
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庶民の知恵
街角のミュージシャンの演奏を聴きながらと角を曲がると現れるのが、15世紀から17世紀の民間住宅「三人兄弟の家」。当時の住宅事情がわかるという。
一番右は15世紀「長兄の家」。窓の大きさで税金が違ったので、窓が小さい。その後、窓税がなくなった16世紀の「次兄の家」は窓が大きい。真ん中の「弟の家」の時代は、入り口の大きさで税金を取ったので、入口が小さくなっている。この地だけでなく、世界の各地に同じような例は多い。
江戸時代の贅沢禁止令のときも、裕福な商人のなかには規則の裏をかいて、それなりの贅を楽しんだ。“お上に政策あれば下に対策”というのは、いつの時代もどこの国でも同じということか。
大いなるイミテーション?バルトのベルサイユ「ルンダーレ宮殿(夏の宮殿)」
「ルンダーレ宮殿」はロシア、サンクトペテルブルグの冬宮を手がけたイタリア人建築家ラストレッリの手によって、1736年から足かけ4年かけて建造された、ロココ調の宮殿だ。ロシア女帝アンナの寵愛を受け、貧乏貴族からクールランド大公になったビロンが、ベルサイユを真似て建てたもので、夏用の宮殿として用いられたという。周りは、今でもただ原野や森が広がっているだけ。狩りが趣味だったというアンナの好みに合わせて、つくられたのかもしれない。
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広い宮殿
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クロアチアからやって来たおじさんは、歩き過ぎてか、いささかお疲れ気味だ
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当時のテーブルウェア
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ビリヤードの原型のようなものもある。壁や天井のフレスコ画、たくさんの肖像画。いろいろな人がここで暮らした
それにしても、大いなる“イミテーション”がどんな経緯でできあがったのか、大いに興味があるところだが、本物のベルサイユに比べると、くだけた言葉で言わせてもらえば“チャチい”。 しかし、普通のチャチさではない。やはり、大国ロシアの女帝アンナの肝いりということだけはある。
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宮殿の庭園
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建物の屋根ではコウノトリが子育てをしている
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印象派以前のバルビゾン派のコローの名画に出てくるような、宮殿近くの風景
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夏用の宮殿だが、なぜか大がかりな暖房設備がある
(つづく)
<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。関連記事
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