次世代への責任をいったい誰が果たすのか!(2)
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元国務大臣・内閣府特命担当大臣・衆議院議員 村上 誠一郎 氏
自民党は今、参議院選挙の勝利に酔いしれている。しかし、その自民党は、さらに永田町は、10年ほど前から明らかに劣化し始めている。そして、2012年12月26日の第2次安倍内閣が誕生して、かつての自民党の姿はすっかり消えた。議論を許さない雰囲気が党内に広がり、議論をする気のない議員が増えた。果たして、自民党は将来的に国民の負託に応え、次世代への責任を果たすことができるのであろうか――。近刊『自民党ひとり良識派』(講談社現代新書)で自民党の危機に警鐘を鳴らす、元国務大臣・内閣府特命担当大臣・衆議院議員の村上誠一郎氏に聞いた。村上氏は村上水軍18代目当主で、その村上家の家訓は、「国家の大事には親兄弟の屍を乗り越えて戦え!」である。
(取材日:7月14日)
強引な解釈変更で完全に憲法が空洞化する
――現在の自民党に警鐘を鳴らす先生の著書『自民党ひとり良識派』((講談社現代新書)が、巷で大きな話題となっています。本書をお書きになった動機は何ですか。
村上 一言で言えば、「責任ある立場の人は、責任を果たさなくてはならない」(Noblesse Oblige)ということを強く感じたからです。このままでは、次世代は財政も金融も年金も大変なことになります。さらには「集団的自衛権」の行使容認によって、若者は地球の裏側まで行って来いと言われることになるのです。
集団的自衛権というのは、自分の国が攻められていないのに同盟国が攻められたら、地球の裏側まで行って一緒に戦うということです。しかし、そのようなことは憲法では認められていません、どこにも書いてありません。従って、憲法を改正する以外に集団的自衛権の行使は認められません。しかし、安倍首相は自分の意に沿う法制局長官を任命し、強引に解釈を変更させました。かつての自民党では考えられないことです。何より為政者として、絶対にやってはいけないことです。憲法というのは、時の政府や内閣の暴走を阻止、国民の権利を守るために存在しているからです。
自民党は第2次安倍政権誕生以前、何よりも「平和主義」、「主権在民」、「基本的人権」を柱とする日本国憲法を尊重した政治を大切にしてきました。だからこそ、多くの国民の皆さんの支持を得ることができたのです。もし、今回のような解釈改憲という手法が認められるのであれば、すべて解釈によって現在の憲法が変えられることになります。「主権在民」や「基本的人権」についても、時の為政者が法制局長官に対して憲法の解釈を変更させ、憲法を実質的に変えることができるようになれば、完全に憲法が空洞化します。
(つづく)
【金木 亮憲】<プロフィール>
村上 誠一郎(むらかみ・せいいちろう)
自由民主党衆議院議員。1952年生まれ。東京教育大学付属高を経て、78年東京大学法学部卒業。河本敏夫衆議院議員秘書を経て、86年旧愛媛2区より2度目の出馬で衆議院議員に初当選。以来、愛媛2区で、自民党一筋で10期連続当選。2001年、第2次森喜朗改造内閣で初代財務副大臣に就任。第2次小泉改造内閣で、国務大臣(行政改革・地域再生・構造改革特区担当)・内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構担当)として初入閣。2015年の安全保障関連法案採決の本会議を欠席、福島第一原発事故の原因究明なきままの原発再稼働に反対するなど、リベラル保守の立場から政権に正論を唱えている。前衆議院政治倫理審査会会長。現在、自由民主党総務、税制調査会副会長、海運・造船対策特別委員会委員長、四国ブロック両院議員会会長。関連記事
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