3Dマップのさらなる進化を求めて目指すのは「ストーリーの創造」(後)
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(株)創造技術
新入社員を積極的に採用
同社では、3Dマップの活用を工事にともなう都市景観のシミュレーションサービス以外にも活用するために、さらに優れた性能を持つものに変化させていこうとしている。そのためにまず必要となるのは「新しい人材」だ。これまでは即戦力となる人材を求め、主に経験者を採用していた。しかし今の時代に必要なのは、未経験者を同社の指導で一から育てることだと考え、新卒を積極的に採用している。未経験といえど基礎知識や技術の習得は必須。土木学科を備えた教育機関に求人を出し、土木技術をしっかりと学んだ若者を求める。昨年入社した新卒社員は今、同社の期待に応えて順調に成長しているそうだ。仕事に熱心に取り組むあまりつい時間外まで作業してしまうことも。逆に、あまり根を詰めないようにと松藤代表が心配してしまうほどだ。
しかし土木は他分野学科からの採用が難しい業態だ。松藤代表は、まず土木学科に進学する若者が増えることを望む。「土木建築物は、インフラ整備など、広域に影響を与えることで社会貢献に結びつきやすいと思います。実際に完成した橋や道路を見たときの達成感は何物にも代えがたいものですよ。自分たちの仕事が地図に表記されたと喜ぶ社員もいます」と松藤代表。
同社が人材以外に求めているものは、設計技術者にはない新しい発想である。同社では、より完成度の高い3Dマップをつくるために議論を進めているが、そのなかで、今最も必要なのは動画におけるストーリー性なのだという結論に行き着いた。ストーリーとは、ある現象が時間の流れと共に違う現象へと変化する、その道筋を追っていくもの。工事による環境の変化をよりリアルに住民たちに伝えるために必要なものだ。
松藤代表が社員に求めているのは「ストーリーの創造」、つまりどのように見せればわかりやすく伝えられるかをストーリーとして独創的に組み立てる力だ。だが、現状では設計技術者たちにストーリーを発想する力を求めることは難しいと考えた。そのために松藤代表が実践しているのは、技術者とは違う視点で物事を捉えることができる、柔軟な発想を持った人材との交流、そしてストーリー性を持った動画の研究だ。発想力を学ぶために3Dアニメーションスタジオとの交流も始めている。
「最近のアニメーターの人たちは非常にリアルな街並みをつくり上げることができます。設計者でないのにここまでできるというのなら、ストーリーテラーでない私たちも、物語性のあるシミュレーションシステムの構築に迫らなくては、と皆で刺激を受け合っています」と松藤代表。楽しみながら自由に意見を交換し合うなかから思わぬアイディアが生まれることを期待する。遊び心を持って土木設計に携わることができることが、同社の強みだ。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:松藤 忠大
所在地:福岡市南区塩原3-8-28 ケイエスビル2F
設 立:1991年3月
資本金:500万円
TEL:092-554-6635<プロフィール>
松藤 忠大
1991年、(株)創造技術を設立。当初より最新テクノロジーを用いてのサービス展開を視野に入れ、基本となるプログラミングを習得。慰霊の旅をライフワークとしており、遺跡周辺地域を3Dマッピング技術を用いて記録に残すことも考案中。関連キーワード
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