久留米商工会議所の会頭選迫る!(2)~賛否両論を呼んだ久留米シティプラザ
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今年4月27日に開業したコンベンション施設機能を有した大型施設「久留米シティプラザ」は、久留米商工会議所会頭の本村康人氏が誘致の立役者である。開業に至るまでにJR久留米駅の新駅に隣接させる案、既存の六角堂広場と2009年2月に閉店した久留米井筒屋跡地を利用する案の2つのプランが掲げられ、最終的に後者の案が採用された。
誘致の背景には、西鉄久留米駅周辺の商店街の衰退がある。03年秋、数キロ先の郊外に大規模商業施設ができて以来、駅前商店街の人通りが激減。空室率が上がり、各店舗の売上も2~3割減少する事態に直面し、廃業または倒産に追い込まれたところもある。20年前と比べ、土日の西鉄久留米駅前のアーケード商店街の通行量は約1万8,000人から3,000人程度まで落ち込んだ。久留米シティプラザは、このような事態を打開するために約178億5,000万円もの血税を投じてつくられた施設だ。
開業以来、西鉄久留米駅からアーケード商店街を通る人の量は増えた印象を受ける。一度はどのような施設なのか、物珍しさに訪れる人も多いだろう。明治通り側の1階に商業施設ゾーンが設けられ、コンビニエンスストア、ケーキ店のほか、飲食店が数店舗出店している。だが、地元関係者によると、集客面では苦戦を強いられている飲食店もあるようだ。
実際に、今年5月から9月末までの久留米シティプラザ主要施設(六角堂広場、展示室、ザ・グランドホールなど)の稼働状況をホームページの月間スケジュールを調べた。まず、1,320m2の面積を持つ六角堂広場では、ひと月最大11件のイベントが実施されているが、6月は4件のイベントしか行われていない。新設された施設のイベント数として寂しすぎる印象を受ける。
次に、施設最大の収容人数(定員1,514名)を誇るザ・グランドホールは、5件のイベントが実施されたのが6月と8月。8月13日には、オープニング記念で地元出身のミュージシャン・藤井フミヤさんのコンサートが開催された。5月と7月は、それぞれ3件。9月は、19~30日までの情報が「9月下旬」として公表されており、同期間の開催件数は1となっている。上旬の数が含まれていない件について、同施設担当者は、「数が多いため省略した」との説明を行っている。少なすぎる稼働状況をごまかすための詭弁でないことを祈るばかりだ。
久留米シティプラザは100億円以上の合併特例債が原資となってつくられた施設である。05年2月に久留米市を中心に周辺の三潴町、北野町、田主丸町などを1つにする大合併が行われ、合併から10年を使用期限とした合併特例債を利用するために、老朽化した市民会館を移転する形で、この施設の計画案が作られた。
だが、合併特例債は、11年3月に発生した東日本大震災を契機に使用期限の見直しが行われ、被災地は20年、非被災地は15年に変更された。これにより、久留米市の合併特例債の使用期限は20年2月に延長された。余裕ができたわけであるが、走り出した建設計画は止まらなかった。むしろ早急に進められ、市民団体らの反発を招く結果となった。この施設が本当に市民にとって必要なのかどうかをじっくりと議論すべきだったという地元の声は根強い。
久留米シティプラザが初年度から赤字となれば、その必要性を疑問視する声は一段と増すだろう。年間8~10億円とも言われる維持管理費を賄えるだけの稼働状況となっているのか、正直、現状は心もとない。結果次第では、久留米シティプラザの建設を推進した中心人物である本村氏に対する責任追及の声があがってもおかしくはない。
(つづく)
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