2024年11月18日( 月 )

山口銀行「支店長」死を賭して諫言~下関ゴルフ倶楽部の実態(後)

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仮オープンしたクラブハウス(9月3日撮影)<

仮オープンしたクラブハウス(9月3日撮影)

 下関ゴルフ倶楽部のクラブハウス建て替え工事が順調に進む中、7月に入り下関ゴルフ倶楽部は建設資金の借入を豊浦支店に要請。下関ゴルフ倶楽部の理事長は、山口FG会長(兼山口銀行会長いずれも6月28日付)であるため、山口銀行の事業性評価部(旧審査部)は、豊浦支店に融資稟議を申請するように求めたが、浦喜支店長は「下関ゴルフ倶楽部は年間3,000万円の赤字となっており、返済財源のない長期融資は取り組めない」と断ったといわれる。それを聞いた久野地区統括母店長は、浦喜支店長を厳しく叱責するなど、八幡時代から続く執拗な『いじめ』を繰り返したことが、自殺に追い込んだ一因ではないかと、箝口令が敷かれている行内から漏れ伝わってきた。

 下関ゴルフ倶楽部は昨年11月26日に臨時総会を開催。福田理事長は「クラブハウスを総工費11億円で建て替え」を提案し、以下の資金収支計画が提示された。

(1)年会費を8万円から12万円へ引き上げ、約4,000万円の増収(4万円×約1,000口)
(2)新規会員の募集により6億円の新規収入【(入会金200万円+預託金100万円)×200口】
(3)寄付金6,000万円の募集(100万円×60口)=特別の専用ロッカーを貸与

 この資金収支もクラブハウス建て替えとともに賛成多数で可決承認されたが、その時、福田理事長は「この資金収支計画に沿って7億円集めることにしており、クラブハウス建て替えで皆さんには決してご迷惑をおかけしません」と豪語したという。

 しかし、年会費が12万円と高く、さらに周辺のゴルフ場と比べて格段に高いゴルフ会員権は不評で、集まったのは2億6000万円と計画から大きくかい離。
 そのため福田理事長は、『大政奉還』と称して、中部哲二副理事長(林兼産業専務)に理事長の交代を要請したと伝えられるが、創業一族の中部副理事長は会員ともめているポストを、今のところ引き受ける気はないようだ。

 資金収支が計画通り達成できなかったことから、9月28日(水)、下関ゴルフ倶楽部の総務委員会は、7億5,000万円(自己資金2億5,000万円)の借入を承認したが、今月6日(木)に、再度、総務委員会が開催され、5,000万円増額して8億円とすることが可決承認された。

 クラブハウスは先月3日に仮オープンしている。クラブハウスの建設資金の総額12億円(追加工事1億円を含む)のうち、2億円は既に支払済みであり、残り10億円の支払い期日は2週間後の10月28日に迫っている。

 下関ゴルフ倶楽部は浦喜支店長が自殺した経緯もあり、山口銀行で資金調達することを見送り、当面8億円の借入を西中国信用金庫で調達する動きをしているというのだ。
 そのあと時間をかけて中部副理事長を説得して理事長を交代し、山口銀行が再度貸出するのではないかとの話も伝わってくる。西中国信用金庫が引き受けるにせよ、その後に山口銀行が肩代わるにせよ、返済財源のない貸出金は中国財務局から見れば不良債権であり、大きな問題をはらんでいるといえよう。

 6月29日に常務取締役山口銀行徳山支店長に昇進した久野耕一郎氏。一方、理事長が山口銀行の会長であるがゆえに、情実貸金を強要する本部及び地区母店長の要請に対して、『死を賭して諫言』した浦喜智嗣氏。はたしてどちらが真のバンカーといえるのだろうか。

(了)
【北山 譲】

▼関連リンク
・山口銀行豊浦支店長が自殺
・『山口銀行の「支店長」自殺の真相に迫る~死を招いた定款変更(前)
・『山口銀行の「支店長」自殺の真相に迫る~死を招いた定款変更(後)

 
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