2024年11月22日( 金 )

激動する社会に求められる地域医療支援病院(後)

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(医)雪の聖母会 聖マリア病院

人事評価に工夫

聖マリア病院 島 弘志 院長<

聖マリア病院 島 弘志 院長

 現院長の島先生は、毎週水曜日に「院長ラウンド」として全病棟を回診する。患者のために役立つと考えて備えた施設、設備、建物がきちんと機能しているか、システムが正常に作動しているかなどを、管理者として実際に評価。改善すべき点は改善する。

 また、入院患者に対する満足度調査も実施している。昔と違い、今では患者からの感謝の言葉が多くなった。各病棟を診て回りながら当事者に声かけを行い、感謝の言葉があったことを伝える。もちろんクレームについても伝え、改善できることはすべて改善していく。この活動が、働く環境を良くしている。

 さまざまな要望に100%は応えられないが、同院を選んでくれた患者に対しては、せめて病気、怪我などで抱えた不安を少しでも癒すことができるようにしたいと思う。

健全経営でなければ社会貢献は成り立たない

 限られた財源のなかで、いかに高度な医療を行うかは、絶対的な使命だ。しかし、どのような医療施設、介護施設も「経営」という問題がある。健全経営が成り立たないと、社会貢献はあり得ない。「医療をやっているからそれで良し」というわけにはいかない。医療には「非営利行為」という原点があり、それは絶対に踏み外せない。

 そうしたなかで、日本中の医療施設は、この激変の時代を乗り越えることを考えている。地域医療構想がスタートしたが、あくまでも「地域包括ケアシステム」という大きな枠のなかで行われているもの。住居やインフラを始めとする国民の生活を充足させるものが整ってこそ、安心した暮らしが営めるという考え方のなかに、医療などの社会保障がある。

 将来の医療は、その地域に住む人の数が減ってくれば、全体の患者数が減っていく。全国的に見ても特色のある施設ならば他地域から患者を呼ぶこともできるが、そういう医療施設は少ない。だからこそ、地域単位で医療ゾーンを形成し、いかに機能の分化を図っていくかが大きな課題になる。そのためには、どの医療施設が何を担当し、どんな医療をどれだけ提供できるのかということを打ち出す必要がある。1つの施設ですべての高度な医療の提供を行うのは難しいため、地域連携を前提とし、シームレスな連携が図れる医療ゾーンに変えなければ、生き残れない時代になっている。同院では、職員が胸を張って「聖マリア病院で働いている」と言える病院にしていく。誇りを持って仕事をしてもらうためには、誇りが持てる職場が必要である。診療報酬改定などの時代時代の変化に対応し、質の高い医療を提供できる組織づくりに邁進する。

(了)

<INFORMATION>
理事長:井手 義雄
病院長:島 弘志
所在地:福岡県久留米市津福本町422
設 立:1953年
総病床数:1,097床(一般931床、療養100床、精神60床、感染6床)
TEL:0942-35-3322
URL:http://www.st-mary-med.or.jp

<プロフィール>
sima_pr島 弘志
山口大学医学部卒。久留米大学病院勤務を経て、1985年から聖マリア病院勤務。2009年4月から病院長。日本外科学会、日本救急医学会など多くの学会に所属。

 
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