豊洲新市場の構造計算に【耐震偽装】の疑いあり!(5)~水産仲卸売場棟
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協同組合建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏
5.民間建築物の建築確認と公共建築物の計画通知の違い
豊洲新市場も、この計画通知という手続により審査をされているので、上記に挙げたような構造計算上の疑義(偽装)が存在するのです。
なぜ、保有水平耐力計算におけるDs値が偽装されていることや、柱脚の鉄量が不足していることや、計算書内で階数の設定が不整合となっている点が指摘されずに、当該建物が建設されたのでしょうか。これは、公共建築物と民間の建築物の建築計画に対する法適合確認制度の違いに原因があるのではないでしょうか。民間の建築物を建築する場合、設計図書(図面や構造計算書など)を添えて確認審査機関に建築確認申請をし、審査を受け、確認済証の交付を受けなければ建築工事に着手できません。建築確認は、以前は、特定行政庁が審査を担当していましたが、平成11年に民間に開放され、現在建設される建物の80%以上が民間の建築確認機関において審査されています。民間への開放以来、行政が受ける確認申請件数が激減し、職員は業務に不慣れとなり、審査能力という点では、年々、民間審査機関との技術的格差が広がっています。民間開放以来17年経過した現在では、行政側の審査能力は相当に低くなっていると言わざるを得ません。
一方、公共建築物については、「計画通知」という手続で行われます。この手続は、同じ行政庁の身内である建築指導課などの担当部署が法的チェックを実施する方法です。いわば、仲間内でのチェックですから、法的チェックも技術審査も「馴れ合い」の領域を脱せないし、また、審査をする側も、建築確認業務に不慣れなため、十分な審査能力を有していない場合が大半で、厳格な審査は望めません。結果的に、豊洲のような、多くの疑義が残る構造計算であっても、建設が認められ、法適合も安全性も確認されていない建物が建設されてしまう可能性が増えたのです。この仕組みは、現代の建築確認制度におけるブラックボックスとも言えます。
6.まとめ
豊洲新市場に関する、いくつかの建築構造上の疑問点を列挙しましたが、日本を代表する最大手の設計事務所である日建設計による設計ですから、私が列挙した単純な指摘(法規定への適合を含めて)を超越する理論を裏付けに持って設計がなされているのかも知れません。国民は、納得できる説明を求めています。もし、日建設計から、納得できる説明・回答がえられなければ、「日建設計」=「姉歯事件と同様」と、定義付けられ、これまでに日建設計が関与した物件についても検証の必要性に迫られる可能性が出てくるのではないかと思われます。(了)
※この記事は、豊洲新市場の一部である水産仲卸売場棟に関する設計図書の内、提供された資料に基づくものです。また、私が検証したものは、ごく一部に過ぎません。すべての設計図書が入手できれば、さらに検証をすることは、やぶさかではありません。
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