2024年11月24日( 日 )

管理組合理事長が語る鹿島建設マンション建替え訴訟(1)

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 福岡県久留米市の分譲マンション「新生マンション花畑西」では、設計における構造計算の偽装および施工における数々の不具合について、「欠陥は修復し難く、建替え以外に方法がない」として、設計会社である木村建築研究所と施工業者である鹿島建設に建替えを求める訴訟を起こしている。また、設計における単純な偽装を見抜けず、建築確認済証を交付した久留米市に対しても、「建替え命令義務付け疎訴訟」および「損害賠償請求」を提訴している。10月23日、これら並行して進行している裁判について、新生マンション花畑西管理組合法人の代表である寺崎敏和理事長に話を聞いた。

竣工直後から不具合発生

 ――このマンションは、竣工から20年が経過していますが、裁判に至った経緯を、お聞かせ下さい。

 寺崎敏和理事長(以下、寺崎) 私たちが住む新生マンション花畑西では、平成8(1996)年の竣工直後から、機械式駐車場のパレットの落下、外壁コンクリートの塊の脱落などの施工の不具合が発生しました。当然、分譲業者である新生住宅や、施工業者である鹿島建設と話し合いを行いました。
話し合いを続けている最中に、分譲業者である新生住宅は解散しました。この問題の責任逃れのためだと思います。その後は、鹿島建設との話し合いとなりました。鹿島建設は共用部分の調査を行いましたが、専有部分の調査は行わないまま、共用部分の塗装を行い、ひび割れなどが判らない状態にして、話し合いを打ち切りました。そして、鹿島建設が私たち管理組合を相手取って調停を申し立てるに至りました。
 調停における調停委員は、小林建設の社長であり、のちに、鹿島建設との共同企業体で久留米市発注の大型物件を受注するなど、鹿島建設との関係が深い方でした。そのことが関係していたのか、調停委員の言動は鹿島建設寄りだったような印象が残っています。調停は不調となり、その後、耐震強度不足が判明し、久留米市と協議を続けましたが、久留米市は逃げるばかりで、一向に解決へ向けた姿勢を見せないので、止むを得ず、鹿島建設らを相手取って、本裁判を提訴しました。

 ――耐震強度が、国が除却の目安としている50%を大きく下回る「35%」しかないことは、調停の段階では判明していなかったということですね?

 寺崎 調停が平行線のまま進まず、完全に暗礁に乗り上げていた時期に、構造設計一級建築士である仲盛昭二氏に、構造的な問題について検証をお願いしました。仲盛氏による検証の結果、平成25(2013)年2月、耐震強度が35%しかないことが判明しました。

 ――耐震強度が35%しかないことが判明したことを受け、管理組合は、どのように行動されたのですか?

 寺崎 耐震強度が35%しかないという検証結果をもって、建築確認の行政庁である久留米市に対して、「久留米市として、詳細な調査を行って、安全かどうかを判断して欲しい。安全でなければ、然るべき対策をお願いしたい」とお願いしました。
 久留米市建築指導課の本山課長は、私たちが提出した、仲盛氏による構造検証結果の中身をまったく見ようともせず、設定条件を変えての構造検証を要求し、挙句のはてには、「管理組合が保管している図面や構造計算書が本物かどうか、わからない」「(地盤種別の偽装について)このマンションの下だけ、浅いところに岩盤があるかもしれない」などと、私たちを小ばかにした態度を続け、「耐震強度35%」という重大で緊急を要する問題に真剣に取り組む姿勢が皆無でしたので、自分たちで、解決の方法を講じなければと思い、提訴しました。

(つづく)

 
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