崖っぷちに立たされた韓国経済(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国は1996年に、OECD(経済開発協力機構)に加盟している。OECD加盟当時の韓国経済の成長率は7.6%で、OECD加盟国の平均成長率である2.9%の2.6倍に達していた。
韓国は97年にアジア通貨危機に見舞われ、成長率は一時期マイナス5.5%まで落ち込んだが、その後すぐ立ち直り、90年代の平均成長率は7%台をキープした。2000年代に入ると、韓国経済の成長率は01年に4.5%まで下落し、その後も経済成長率はあまり回復せず、2000年代の平均成長率は4~5%台に下がった。2010年以降の韓国の経済成長は、この水準も維持できなくなり、かろうじて3%台の成長にとどまることになった。韓国は輸出依存度の高い国で、輸出で外需を取り込むことで経済成長をしてきた。ところが、2008年のリーマン・ショック以降、世界経済はなかなか回復できず、韓国経済にとって外部環境は厳しいままだ。
それに、韓国輸出の4分の1を占めている中国経済が失速しており、韓国経済はもろにその影響をも受けている。先月の輸出は、前年対比で5.9%の減少で、中国向けの輸出は、10%ほど減少している。韓国の主要輸出品目の1つであるテレビは、中国企業にとっくにキャッチアップされているし、スマホでも中国企業の追い上げは激しく、中国での市場シェアを侵食されている。輸出が振るわないなかで、韓国では最近、接待文化を変えるという目的で「金英蘭法」が制定され、内需の低迷も懸念されている。そのような状況で、韓国経済が今年の第4四半期にマイナス成長に陥る可能性もあることを、経済研究所は指摘している。韓国経済は15年第2四半期の1.2%の成長を除き、14年第2四半期からずっと1%以下の成長率を記録している。
それでは、なぜ韓国経済はここ数年、成長が鈍化するようになったのか――。
まず、韓国の成長を牽引してきた主要産業が競争力を失い、衰退している。資源の乏しい韓国は、原料を輸入し、それを加工して輸出することで成長してきた。しかし、世界の工場と言われる中国が台頭したことで、多くの分野で競争力を失いつつある。
中国の低価格攻勢にシェアを奪われ、造船、鉄鋼、建設、海運など、あらゆる分野で危機を迎えている。景気が良かったときに戦略を立て、将来に備えてもっと技術開発にしておくべきであったが、中国の追い上げを受けているなかで、次の成長産業がまだ育たず、苦戦を強いられている。2番目に、韓国の大手企業はアジア通貨危機の経験から、以前のようなチャレンジをしなくなった。大手企業は国内への投資を抑制しているし、アジア通貨危機で、韓国社会は中産階級が没落していて、内需を支えるような基盤もなくなっている。
3番目に、韓国の生産性は低く、取引コストは高すぎて、競争力がなくなっている。
中国は人件費が安く、取引コストも韓国に比べると格段に安い。それに、設備は韓国より新しい。韓国は技術革新をしない限り、シェアを失うのは当然の結果かもしれない。従来の組み立て方式で競争していては、韓国はもう中国にはかなわない。新しい技術開発で差別化を図らないと、韓国は人件費の安い中国、東南アジアの国とはまともな競争ができない。4番目に、今後、複合産業が有望視されるが、それを実現するには、韓国には規制が多すぎて、なかなか実行できない状況のようだ。
こうした問題を解決しない限り、韓国経済に未来はないと、専門家は口をそろえている。
(つづく)
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