TPP批准案で真価問われる民進党
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、TPP批准阻止について触れた、10月25日付の記事を紹介する。
10月23日に函館9条連主催「緊急事態条項反対!憲法9条を守り広める函館地区集会」で基調講演をさせていただいた。演題は「いのちと暮らしを脅かす安倍政治-自民党憲法改定案とアベノミクスの正体」である。
函館国際ホテルの集会会場には約250名の市民が参集くださった。安倍政治が推進する「原発稼働」「憲法破壊」「TPP参加」はすべて同根の政策である。99%の主権者のための政治ではなく1%の巨大資本のための政治なのである。
経済政策を「アベノミクス」と命名しているが、その本質は、「弱肉強食の推進」である。
臨時国会では日本の主権者にとって「百害あって一利なし」のTPPを強引に批准する行動が示されている。衆院TPP特別委の自民党委員で理事の福井照衆院議員は「この国会ではTPPの委員会で西川(公也)先生の思いを、強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」
と発言して同委員会理事ならびに委員を更迭された。このことについて、安倍首相は10月17日の国会答弁で
「我が党においては(1955年の)結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」
「円滑に議論し、議論が熟した際には採決する。民主主義のルールにのっとっていくのは当然のこと。」
「この考え方とは相いれない発言であったから(福井氏)本人が辞職した」と述べた。
ところが、この翌日にあたる10月18日に、山本有二農水相が衆院議院運営委委員長で自民党衆院議員の佐藤勉氏のパーティーに出席して、「野党が必ず強行採決するだろうと総理に質問するが、強行採決するかどうかはこの佐藤勉さんが決める。だから私は、はせ参じた。」
と述べた。佐藤氏に強行採決をお願いするために「はせ参じた」としか理解できない発言だった。
野党4党は山本有二氏の辞任を求め、また、衆院TPP特別委の塩谷委員長に対して「強行採決はしない」念書の提出を求めた。安倍首相は国会答弁に沿って、山本農水相を辞任させるべきであったが、この野党要求を跳ねつけた。
野党は要求を粘り強く通すことが必要だったが、与党が野党議員退席のなかで決めた10月24日開催の地方公聴会日程を10月26日に延期することで了承し、委員会再開に応じてしまった。野党は10月24日の参考人を招致しての質疑開催に反対したが、与党は野党議員退席のなかで委員開催を強行した。
衆院委員会採決を与党は10月28日に行うことを提案しているが、野党が反対しているため、10月31日にずらす案を提示したが、野党が応じないため、決着がついていない。臨時国会は11月30日が会期末になる。
11月1日までに衆院でTPP批准案が承認されると、日本国憲法第60条および第61条の規定により、参議院が承認の議決をしなくても、批准案は自然成立する。したがって、野党は少なくとも、衆院での承認を11月2日以降に先送りさせなければならない。ところが、これまでの野党対応は手ぬるく、11月1日までの強行採決を阻止することを確保し切れていない。「数の力」で押し通そうとする安倍政権の基本姿勢が何よりも問題ではあるが、野党第一党である民進党の行動に気魄が欠けていることがより重大な問題である。
民進党は主権者の信頼を完全に失うことのないよう、少なくともTPP批准案の衆院通過を11月2日以降に先送りさせなければならない。
※続きは10月23日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1574号「民進党の解体再編なくして日本政治刷新はない」で。
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