シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(6)~40代銀行マンの決断、転職理由は「将来性」
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支店長も視野に入った40代半ばの銀行マンが退職した。転職先は取引先企業。彼が転職を決断した背景には、銀行が55歳に役職定年となることが影響している。さらに、51~52歳で取引先企業へ出向するとなれば、「最短5年で報酬は激減する。役員などの上位ポストは学閥が支配しており、銀行マンとしてキャリアアップは望みにくい」と判断したというのだ。
銀行は長期にわたる低金利により、「人で戦う」ということができなくなってきた。担当者の力量は関係なく、企業はいかに金利が安いかだけが銀行を選ぶ基準となってきたことも、今回の選択に大きな影響があったという。担当者の裁量が小さくなり、面白味に欠けてきたのだろう。
転職を決意した動機は、今後の報酬というものも大きかったという。転職後の年収に違いはないが、55歳で事実上定年となる銀行とは違い、転職先では少なくとも65歳まで働ける環境があるからだ。
転職先からは、トップ自ら誘いがあったという。「報酬は銀行と同じ。ただ、65歳まで報酬は保証します」と口説き落とされたのだ。転職先のトップとは20年来の付き合いだった。当初はこの銀行マンが取引先の開拓に躍起になっていた時期だ。その後は会う機会もなく、20年が経過していたが、偶然取引先の社長と担当行員として再会。銀行マンとしての今後に不安を抱くなかで、若い時期の営業実績と仕事に対する熱意を買われ、誘われたようだ。彼は、悩みに悩んだ末に転職を決意した。彼は転職を経て「(仕事に対する)視野が広がった」と語る。前述のように、低金利で差別化が難しいなか、やりがいを失いかけている銀行マンは少なくないだろう。今回の転職に際し、まわりからは「よく決断した!」「とても良い判断だと思う」「私でもそうする。賛成だ」という声、「なぜ?」「もったいない!」「私は反対だ」という声が半々くらいだという。就職先としての銀行は依然として「安定していて将来性がある」との評価が一般的で、彼が就職した約20年前ではそれがさらに顕著だっただろう。
今後、地方銀行はさらに合併・統合が加速していくとみられる。それにともない、上位のポストを狙う競争はさらに激化。銀行マンの「将来性」は彼の転職動機にも見られるように、激変の時期を迎えている。
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