2024年12月28日( 土 )

ブロックチェーン革命とは?(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 世界経済フォーラムは、2017年になると全世界銀行の80%は「ブロックチェーン」を導入するだろうと予想した。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどの世界的な大手金融機関40社は、すでにブロックチェーンを利用したシステムの開発に取り組んでいる。上記の金融機関は、ブロックチェーンで先行しているアメリカの会社R3と、コンソーシアムを結成し、互いに金融情報を共有しながら、送金・決済などに使われるシステムを開発する計画だ。
 米国の店頭公開市場であるNASDAQ(ナスダック)も、去年から非上場株式の取引にブロックチェーン技術をテスト導入している。

office2-min このようなトレンドを受けて、韓国の金融機関も遅ればせながら、ブロックチェーンの技術開発にやっと重い腰を上げた。サムスン系列の金融機関では、ブロックチェーン技術を活用して、手数料は下げ、セキュリティは強化することに乗り出している。KEBハナ銀行と新韓銀行も、前出のグローバルコンソーシアムに参加して、ブロックチェーンの導入に乗り遅れまいとしている。KB国民銀行の場合には、韓国のブロックチェーン専門企業と提携し、技術を導入し、商用化を急いでいる。

 現在、話題になっている未来を変えるテクノロジー「人工知能」「モノのインターネット(IoT)」「自動走行運転」「ブロックチェーン」のなかで、人類の未来に与える影響力が最も大きいのは、ブロックチェーンだと言われている。LG経済研究所の報告書によると、投資銀行はブロックチェーンを導入することで、コストを30%ほど低減できるという。英国のエコノミストでは、2022年の金融機関のブロックチェーン導入によるコスト削減効果は、200億ドル(約2.1兆円)に上るだろうと報じている。

 それでは、金融機関を中心にかなりの期待が集まっているブロックチェーンとは、どのようなものなのか。今回はそれを取り上げてみよう。

 ブロックチェーンは、仮想通貨ビットコインを支える中核の技術であった。ビットコインの中核の技術であるブロックチェーンは、他の分野にも応用できるのではないかと考えられ、金融を中心に、貴重品の取引、契約などの分野で注目が集まっている。

 今までの金融取引は、金融機関の介在なしでは不可能であった。また金融機関は、その取引データを安全に保存するため、巨額のシステム投資が必要であった。
 ところが、ブロックチェーンを導入すると、金融機関の介入なしでも、当事者同士の取引が成立し、従来のような高コスト問題とセキュリティ問題を一挙に解決できるというのだ。小額決済や国際送金など、取引金額よりも手数料が高くて成立できなかった取引も、ブロックチェーンの導入により取引が実現しようとしている。

(つづく)

 
(後)

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