2024年12月23日( 月 )

城ガールが巡る日本の名城~南海の名城・高知城(9・後)

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現存天守・高知城

 高知城は、天守と本丸御殿の両方が揃って現存する唯一のお城だ。天守と本丸御殿への入場は有料で、個人の場合18歳以上は420円、18歳未満(高校生含む)はなんと無料。城内も、大手門から二の丸の詰門入り口までは無料で自由に出入りすることができたりと、何とも太っ腹。

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 本丸御殿の前で、ガイドのおじさんと名古屋ご夫妻とお別れとなった。入場券を買い高知城スタンプを押印していると、「お嬢ちゃん!中も案内してもらえるから早くおいで!」と先ほど別れたばかりの名古屋のご主人に声をかけられる。慌てて合流すると、そこには奥さんと一緒に別のガイドのおじさんの姿が。おじさんの片手には分厚いファイル。あれは高知城のガイドさんの必需品なのだと気づいた瞬間だった。

 本丸御殿、天守へと入る。現存天守特有の、傾斜のきつい階段にミシミシとなる床。歳月を経た柱が醸し出す趣は、何物にも代えがたい。ガイドのおじさんは、高知城に天守台が無いということ、襖の取っ手には家紋が彫られているということ、ミシミシとなる床の下はシロアリに食われてしまい、見えないところは新しい木を使っているということなど、専門的なことから裏知識まで幅広く解説してくれた。
 また、天守内に置かれている解説パネルは、天守や石垣の構造などをとても分かりやすく説明していて、お城に詳しくない人でも一から楽しめる工夫がされていた。ガイドさんの気配りの細やかさをはじめ、城内の各所から“お城の魅力を知ってもらいたい”という思いを感じ、温かい気持ちになる。

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 天守最上階から見た景色は壮観だった。道を通るときに見えた景色と、上から眺めた景色は異なる。入り組んだ城内の造りは面白く、自分が登ってきた道を目で確かめた。天守に吹く、ほのかに冷たい風が心地良い。いつまでもここに留まっていたい、そう思ってしまうほどの美しい景色が目の前に広がっていた。

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旅の終わりと生まれた縁

 あっという間に時間は過ぎ、全員で天守入口へと戻る。ガイドのおじさん、ご夫妻とは本当にここでお別れだ。するとご夫妻から、「今度名古屋に遊びにおいで」と連絡先を渡された。驚きと嬉しさを感じながら自分の連絡先を渡すと、その光景を見ていたガイドのおじさんから、「高知城が結んだ縁ですね」と、嬉しそうな表情で声をかけられた。香川に続いて、高知でもお城を通して“縁”が生まれたのだ。

 これまでにない、一等特別な思い出ができた香川・高知でのお城めぐり。その帰路は、名残惜しくも、とても満ち足りた思いでいっぱいだった。

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(了)
【城野 円】

 
(中)

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