ミネラル吸収に関する真実(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
人間の体は、約60兆の細胞が集まってできている。細胞は生命の最小単位であり、生命活動に不可欠な能力を備えている。細胞の7割は水分で、その次が15%を占めるタンパク質である。タンパク質には3万~10万種類があり、タンパク質は人間の思考、活動、感情など、すべてに関わっている。ところがこのタンパク質も、ミネラルなしでは正常な働きができない。
このようにミネラルは、人体にとってとても大事な必須栄養素であり、身体の正常な発達や健康維持には欠かせない。それだけでなく、ミネラルはさまざまな代謝に関わったり、骨、歯、血液などの構成成分になったりする。ミネラルは体内に約3~4%しか存在しないが、酵素をつくったり、触媒の機能などを担っていたりするので、不可欠な要素である。さらにミネラルは、体内に入った有害物質や老廃物を排泄する機能も発揮する。
ミネラルの代表格としては、カルシウムや亜鉛、銅、マグネシウムなどがある。これらは鉱物であり、一見何の栄養もなさそうだが、実は人間の生命活動を支える重要な役割を担っている。
そのほかに、ミネラルは抗酸化酵素をつくり出すことにも関与している。そのため、ミネラルが不足すると、抗酸化酵素をつくれなくなり、その結果、体に活性酸素が溜まり、やがて体は病気になってしまう。主要ミネラルには、まず亜鉛がある。亜鉛はミネラルのなかでも、最も多彩な働きをするものである。300種類以上の酵素の活性化に関与したり、120種類以上の人体の構成成分になったりする。また亜鉛は、タンパク質やDNAの代謝に関わっているが、ミネラルのなかでも吸収率の低い成分の1つでもある。
鉄分は赤血球をつくるのに利用されるため、鉄分が不足すると貧血を起こす。マグネシウムは酵素の正常な働きとエネルギーの生成に関わっているし、血液の循環を円滑にする。それでは、このようなミネラルを摂取するのに、どのような問題があるのだろうか。
ミネラルは微量でも不足すると、私たちの健康に深刻な影響を与える。ところが、現代の生活は、ミネラル摂取が容易ではない状況である。ミネラルを摂取する一番良い方法は、野菜など食べ物からの摂取である。だが、50年前と比較すると、今の野菜にはミネラルが10分1しか含まれていない。みかんで言うならば、以前は1個のみかんでミネラルは十分であったが、現在は10個のみかんを食べてようやく、以前と同じ量のミネラルが摂取できるという。
その原因は何かというと、今の農業では農薬の使用が多く、土地が荒廃していて、ミネラルが少なくなっているからだ。それに、インスタント食品の増加は、ミネラル摂取の機会を減少させている。それから、ミネラルの豊富な食品には塩があるが、ミネラルを豊富に含んでいる天日塩はごく一部で、食卓に上るのは、ほとんどが精製塩。そのため、塩からのミネラル摂取も難しい。このように、現代人の生活環境は、ミネラル不足を起こしやすくなってしまっているのだ。(つづく)
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