2024年12月23日( 月 )

シリーズ・金融機関淘汰の時代がやって来た(10)~九州地銀行の16年9月期(中間)決算を検証する(5)

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 【別表1】の「通期純利益予想表」を見ていただきたい。

<表から見えるもの>
 第1位の福岡銀行が前年比+289百万円増の459億円の増益予想に対して、西日本シティ銀行は前年比▲39億21百万円の230億円(前期比▲14.6%)と大幅な減益予想となっている。

 16年3月期より増益予想しているのは、ふくおかFG傘下の福岡銀行と親和銀行。それに新規出店を続けている北九州銀行の3行だけとなっている。

 順位変動があったのは昨年第3位の肥後銀行が熊本地震の影響を受け、同じ九州FG傘下の鹿児島銀行と入れ替わっている。
 昨年第9位だった親和銀行は、同じふくおかFG傘下の熊本銀行が熊本地震の影響を受けて、52億59百万円から2億円(予想)となったこと。また同じ長崎県を地盤とする十八銀行が来年4月にふくおかFGと経営統合し、翌18年4月に両行が合併する予定であることなどが好材料となり、70億円(前期比+1,794百万円)を予想して第7位に躍進。ふくおかFG内での存在感を増すことになりそうだ。
 第9位の佐賀銀行は32億円(前期比▲42百万)を予想しているが、増益も期待できそうだ。

 第11位の南日本銀行以下8行のうち、第一地銀行は筑邦銀行だけであり、第二地銀の収益体質が弱いことが分かる。
 この中で目を引くのは第12位の宮崎太陽銀行。16年9月期(中間)で15億53百万円(達成率141.2%)の純利益を計上。通期予想の11億円を大きく上回っている。同様に佐賀共栄銀行も、中間純利益312百万円(達成率107.6%)に対し通期目標は290百万円。長崎銀行も中間純利益は280百万円(目標達成率100%)で、通期目標も280百万円ジャストであり、今後決算予想の修正をするかどうかに注目が集まることになりそうだ。

まとめ

 九州地銀のトップを切って16年9月期(中間)決算を発表したのは西日本シティ銀行で、11月7日。米大統領選前であり、日経平均株価は1万7,177円21銭だったが、トランプ氏の当選が決まった11月9日の日経平均株価(終値)は1万6,251円54銭(前日比▲919円84銭)と1万7千円台を大幅に割り込んだ。しかし翌10日は前日比+1,092円88銭の1万7,344円42銭に急騰。九州地銀の大半が中間決算を発表したのは米大統領選の開票前後だった。最後に決算発表したのは九州FGで11月14日。日経平均株価は1万7,672円62銭。 
 その後日経平均株価は上昇し、11月22日現在1万8千円台を回復しているが、17年3月期の通期予想の発表段階では、予想しえなかったことだろう。はたして今後もトランプ効果が続くのか。それとも日銀のマイナス金利政策が浸透して更なる減益予想となるのか。来年2月初旬に発表予定の17年3月期第3四半期決算で、その答えが出ることになりそうだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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