表面化した詐欺被害は氷山の一角(1)~読者から届いた悲痛な叫び
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NetIB-Newsの読者から悲痛な叫びが届いた。2016年5月、「詐欺容疑で福岡市南区の通信電話会社代表を逮捕」という記事を掲載したが、8月中旬この記事を読んだ読者から1通のご意見メールが送られてきた。やりとりを交わす中で、福岡県警が発表した事件のほかにも被害者がいることが判明した。
5月詐欺容疑で逮捕
まずは今年5月にNetIB-Newsで掲載した記事から振り返ってみよう。
5月11日、福岡県警筑後署は福岡市南区塩原3丁目、通信電話会社代表の市瀬雄人容疑者を詐欺容疑で逮捕したと発表した。市瀬容疑者は日本通信電話(株)(所在地:福岡市博多区博多駅南4-16-2)の代表取締役。
福岡県警によると、市瀬容疑者は2012年3月頃、取引先の男性の妻(大川市)から約27万円を騙しとった疑いが持たれている。妻が市瀬容疑者に死亡した夫の借金整理について相談。市瀬容疑者は「保証協会に加入しておけば、保証協会が借金返済を保証してくれる。協会へ申請する重要書類を作成するので、費用をお願いする。その費用は返金される」などと嘘をいい、被害者からお金を騙しとったもの。
8月中旬、この記事へのご意見メールがNetIB-Newsに届いた。内容はたった一文だった。「市瀬は最低な男でした」のみ。一文であっても、読者からの貴重なご意見である。送信元のメールアドレスに返信し、事情を話してもよいという承諾を得たところで、取材を行った。ご意見メールを送ってきたのは、美容室のオーナーA氏だった。同氏も詐欺被害者だということがわかった。美容室と通信機器販売業者との接点はどこにあったのか。話を聞くうちに、身近に危険が潜んでいること、そして詐欺被害者の共通点がわかってきたのである。
A氏の詐欺被害の場合、事の発端は市瀬氏とはまったく関係のないところであった。A氏が3年前に2号店を出店したところから歯車が狂い始める。2号店開業のため、新規スタッフを雇い入れ、順調な滑り出しを迎えていたかに見えた。しかし、従業員による不祥事が続けて発覚する。開業時に雇い入れたある美容師が無免許だったことが発覚。有資格者だと偽り、面接を受け、採用されていたのだ。発覚後は基本給を下げ、雇用は継続していたものの、同スタッフによるさらなる悪事が明るみになる。開業から1年を迎えようとしていたころ、レジのPOSデータと売上金が合わないことが続いていた。不審に思ったA氏は店内の防犯カメラを確認。すると、その美容師が売上金を横領していたことが発覚する。本人も、売上金の横領を認め、弁済を約束するが、A氏がPOSデータから計算した金額を認めず、弁護士を立て減額と支払い条件の緩和を要求してきた。A氏も弁護士を通じて、請求を行うが、事態は遅々として進まず、悩んでいた矢先だった。そこに現れたのが、詐欺師市瀬である。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
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