2024年12月22日( 日 )

ふくおかFGと十八銀行~暗雲漂う経営統合(中)

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十八銀行~経営統合の舞台裏を推測

sora1min 十八銀行・佐賀銀行・筑邦銀行はオンラインシステムを共同化して利用していた。そんななか、2014年11月10日、肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合に基本合意したと発表。翌年3月27日付で持株会社の名を「九州フィナンシャルグループ」とし、2015年10月1日に設立することを公表した。九州で圧倒的な強さを持つふくおかFGと対抗するには、さらに経営統合に参加する銀行を増やすことが生き残る大きな選択肢の1つだったといえよう。

 ある消息筋は、「本当かどうかは定かではないが、九州FGは十八銀行の打診を受けてを経営統合を検討をしたが、『株価が低いから』という理由で断ったとの話が、密かに囁かれていたのは事実」と語った。

◆十八銀行は14年6月に森拓二郎頭取が就任。そのわずか4カ月あまり後に、肥後銀行と鹿児島銀行との経営統合を知ることになった。その胸中はいかがなものであっただろうか。

◆一方14年4月1日、熊本銀行の代表取締役副頭取に櫻井文夫福岡銀行副頭取が就任。櫻井副頭取にとってもライバルの肥後銀行が鹿児島銀行と経営統合することが報じられると、大きな衝撃を受けると同時に、システムで歩調を合わせる十八銀行・佐賀銀行・筑邦銀行の3行の動きが気になったのではないだろうか。

 ある十八銀行OBは、「あくまでも推測だが、熊本銀行の櫻井副頭取は、十八銀行が九州FGへの参加を打診したが断られたことを伝え聞いて、早速、九大の後輩であり経営統合の責任者でもあった森甲成取締役に接触したと思われる。森拓二郎頭取も九大経済学部の1年後輩であり、九大OBを中心に経営統合はトントン拍子に進んだのではないだろうか。
 そして、ついに今年2月26日、ふくおかFGと十八銀行は経営統合する基本契約を締結したと電撃的に発表。それを聞いて一番驚いたのは十八銀行との経営統合に難色を示した九州FGだっただろう。十八銀行が親和銀行を傘下に置くふくおかFGと経営統合することはないと高をくくっていたと思われるからだ。また十八銀行とオンラインシステムを共同運用していた佐賀銀行と筑邦銀行のトップも、十八銀行が共通のライバルであるふくおかFGと経営統合をすることを知り、心底震え上がったのではないだろうか。
 ただ残念なのは、後輩の森専務が道半ばにして亡くなったことだ。小柄ではあったがみんなから好かれる良い男だった。血糖値が高いことを気にはしていたが、他に病気はないと聞いていたのに。やはりふくおかFGとの経営統合が心労だったのだろう。家族葬だったので最後のお別れはできなかったが、心からご冥福をお祈りしたい」と語ったのが印象的だった。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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