ふくおかFGと十八銀行~暗雲漂う経営統合(後)
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九州地銀の経営統合にはトップの学歴が関係している。九州FGの会長であり肥後銀行頭取である甲斐隆博氏と社長で鹿児島銀行頭取の上村基宏氏は慶大商学部卒の同期。またふくおかFGと十八銀行の経営統合を取り持ったと見られている櫻井文夫熊本銀行副頭取は九大卒。経営統合を受け入れた十八銀行の森拓二郎頭取と森甲成専務も九大卒だった。
これからも分かるように、今後予想される九州地銀の経営統合は、地政学的な繋がりだけでなく、トップ同士の個人的な繋がりである学歴が大きく影響してくるものと思われる。
【別紙】の通り、九州地銀18行の首脳は計27人(会長9・頭取18)である。その内訳を見ると、慶応大(7人)、東大(5人)と、この二校がほぼ半数を占めている。九大卒の頭取は現在大分銀行と十八銀行の二行だけだが、今回の経営統合の成否が、九州の名門大学である九大が、その一角に食い込めるかどうかの鍵を握っているといっても過言ではないかもしれない。
暗雲漂う経営統合の行方
◆ふくおかFGの母体である福岡銀行の頭取は歴代日本銀行出身者が占めていた。福岡県の基幹産業だった炭鉱産業が、1950年代後半からエネルギー革命が起こり、石油に取って代わられ衰退。その不良債権の処理のため日銀から頭取を迎えることになった。しかしその後は景気回復の波に乗り再建を果たした福岡銀行。2005年4月、日銀出身の寺本清頭取からバトンタッチを受けたのはプロパーの谷正明代表取締役副頭取(現ふくおかFG会長兼同行会長)だった。実に50年振りに生え抜き頭取の誕生だった。その後を継いだのが二代目プロパーの柴戸隆成氏。十八銀行と経営統合すれば、全国地銀105行のうち、4行を傘下に持ち、再びコンコルディアFGを抜いて総資産トップの座を奪い返すとができるふくおかFG。
かつて十八銀行は大蔵省系列、福岡銀行は日銀系列といわれていた。しかし今回の経営統合は官の束縛を受けることもなく、ふくおかFGと十八銀行が独自の経営戦略から決断したことを意味する。
それが故に、今ふくおかFGと十八銀行の経営統合は暗礁に乗り上げているのだ。大蔵省出身者からプロパーの頭取を取り返した十八銀行。日銀出身者からプロパー頭取の座を取り返した福岡銀行(ふくおかFG)。
しかし金融機関を監督するのは金融庁と日銀である。さらに今回の経営統合には独占禁止法に基づく公正取引委員会が加わることになっており、十八銀行森専務の自殺がその厳しさを物語っているといえよう。金融当局と一線を画したふくおかFGと十八銀行の経営統合は、まさに四面楚歌の様相を呈しているように見えるのだ。
はたして森専務の死が報われるのか。それとも無になるのか。九州地銀だけではなく、全国の地銀関係者は、その行方を固唾を呑んで見守っているのではないだろうか。(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】※クリックで拡大
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