鹿島建設・耐震偽装マンション問題、第三次耐震診断の結果は?(3)
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――このマンション(新生マンション花畑西)は、新耐震基準により設計されているので、耐震診断の基準に対して余裕を持っていると思っていました。設計以外に、このマンションが危険である要因はあるのですか。
仲盛 新耐震基準による一般的な構造設計は、各種の規準に従って設計されます。各規準の根底には、材料や施工状況などの不安定要素に対する安全率が掛けられているので、仮に設計作業段階において規準を少し逸脱しても、直ちに建物が崩壊に至るとは断言できないのです。
このように、安全率は事実上の余力として考えられているのですが、鉄筋の腐食、コンクリートの中性化などの急激な劣化があれば、材料本来が持つ余力が失われていることを意味し、安全率などにより吸収することができなくなるのです。
このマンションにおいては、鹿島建設が下請業者である栗木工務店に損害賠償を求めた裁判で、鹿島建設自身が調査し証言しているように、鉄筋かぶり厚が極端に不足(鹿島建設自らが証言)しています。なかには、かぶり厚ゼロの箇所も多数あり、現に鉄筋が腐食していることが判明しています。
また、鹿島建設の調査で、コンクリートの中性化も異常な速度で進行していることも判明しています。これは、安全率の余力が残ってない状況を現しており、直ちに極めて危険な状態であると判断されます。
したがって、耐震診断により耐震性不足という結果になった場合、検証された建物が、検討結果の耐震強度を超える地震に遭遇すれば、建物は崩壊を免れないことになるのです。
さらに、このマンションのように、鉄筋に必要なかぶり厚さがなく腐食が進んでいるような場合、状況によっては、地震の発生によらずとも、長期(常時)荷重によって崩壊することがあるのです。平成28(2016)年10月10日、中国において、地震が発生したわけでもないのに、突然ビルが崩壊する事故が発生しましたが、これと同じ現象が起きる可能性が高いのです。――今の話の中で、「鹿島建設が下請業者に損害賠償を求めた裁判」という言葉が出てきましたが、これは、どういうことですか。鹿島建設は、施工ミスを否定せず認めているということですか。
仲盛 鹿島建設は、現在審理中である裁判においては、「図面通りに施工をした」と主張していましたが、図面に明記されている重要な梁を30カ所も施工していないことを、原告から指摘されると、「図面に記載されている梁がなくても問題ない」と、根拠のない一方的な主張をしています。原告はその梁が重要なものであることを検証した技術的論拠を提示しています。
その一方で、鹿島建設はこのマンションの建築工事の下請であった地元の建設業者に対しては、「鉄筋のかぶり厚さ不足、コンクリートの中性化、コンクリート内部への異物混入など【極めて、ずさんな施工管理をしている】ので、損害を賠償せよ」という訴訟を起こしていたのです。
鹿島建設自らが被告となった本件裁判においては、施工ミスを否定し、実際に梁を施工していないことを指摘されても「問題ない」と言い張る一方で、下請に対しては、厳しく、賠償を求めていたということです。(つづく)
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