朴大統領の弾劾と米国の金利上げ(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国銀行の先月末の発表によると、韓国の消費者心理指数は95.8で、世界金融危機以降7年7カ月ぶりに低い数字を記録したとされる。この指数は100を基準にしており、100を上回れば未来をポジティブに、100を下回れば未来をネガティブに捉えていることを現している。消費者心理指数は、世界金融危機が起きた後の2009年4月に94.2を記録したが、今回は95.8を記録し、消費者心理がかなり冷え込んでいることが明らかになった。
ところが、このような状況にも関わらず、韓国政府は適切な対策を講じるどころか、経済政策のコントロールタワーが右往左往して混乱が増している。早期に経済のコントロールタワー機能を回復しないと、来年の上半期には、ゼロ成長に陥る可能性があると経済専門家は警鐘を鳴らしている。
では、消費者心理は、なぜこれほどまでに冷え込んでいるだろうか――。
それは、韓国経済成長の牽引役であった輸出に、赤信号が灯っているからである。韓国輸出の4分1を占める中国であるが、中国は不動産バブルがはじけそうで、景気が失速している。それだけでなく、THAAD(終末高高度防衛)ミサイル配備をめぐって、中国は韓国に対して圧力をかけ始め、その影響が韓国経済に消費低迷というかたちでじわじわと出てきている。
それから、今までの韓国輸出の主力産業は、中国の追い上げで、競争力を失いつつある。韓国鉄鋼市場の4割を中国製の低価格品が占めているし、造船、海運、石油化学などは、中国との格差が縮まっている。高速鉄道や発電所などのインフラ建設の場合は、中国は莫大な資本を武器にプロジェクトに参加するので、韓国は太刀打ちできない。品質とか価格競争力は二の次で、まずは政府保証などのファイナンスを確保できるかどうかがプロジェクト受注の鍵になる。
日本と中国は、その面においてはかなり有利な立場である。プロジェクトにトラブルが発生した際にも、中国などは政府が前面に立って解決を図るが、韓国はそのような面においても、構造的に不利である。もう1つの要因は、朴大統領の知人による国政介入の疑惑で、政治だけでなく経済にもその余波が広がっていることだ。韓国は今までうまく危機を乗り越え、成長を続けてきたが、今回はいろいろな要因が偶然重なり合い、深刻な危機に直面している。この危機がもっと長期化するかどうかを占うことのできる2つのことが、先週と今週決定される。
(つづく)
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