2024年11月23日( 土 )

鹿島建設・耐震偽装マンション問題、第三次耐震診断の結果は?(4)

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 ――鹿島建設が、下請業者である栗木工務店を訴えた裁判においては、具体的に、どのような施工ミスを指摘していたのですか。

 仲盛 鉄筋のかぶり厚さの不足に関して、鹿島建設は次のように、栗木工務店の施工ミスを追及しています。
 「鉄筋のかぶり厚さが極端に不足しており、かぶり厚さがゼロ(鉄筋が露出)という箇所も数多くある」「(鉄筋の)かぶり厚の著しい不足(建築基準法施行令79条の著しい違反)・・・請負業者として当然に要求される注意を払えば容易に防げたはずの瑕疵であり、これが被告の重過失に基づくことは明らかである」(鹿島栗木訴訟 鹿島建設 第4準備書面2頁)。

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 仲盛 また、鹿島栗木訴訟、鹿島建設第9準備書面3頁では、鹿島建設建築工事部統括部長であった木村洋介氏の2006(平成18)年1月26日の発言として、「写真を見てもわかるように非常に品質が悪く、設計図どおりの工事が行われていない」と記述しています。

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 仲盛 鹿島と栗木の裁判における鹿島建設の主張の通り、本件マンションにおける、鉄筋のかぶり厚不足は「著しい」ものであり、「請負業者として当然に要求される注意を払えば容易に防げたはずの瑕疵」であり、「重過失」であり、「非常に品質が悪く、設計図どおりの工事が行われていない」と、鹿島建設自らが断定していることです。
nakamori2 本件においては、鹿島建設が、図面に明記されている、外部階段と建物本体を接続する重要な梁を30カ所も施工していないことも判明しています。
 鹿島建設は、「図面通りに施工しているので、問題があるのは設計だけである」という主旨の主張を繰り返していますが、鹿島建設が下請業者の栗木工務店の施工ミスをいくつも挙げているように、これは、そのまま、栗木工務店の元請けである鹿島建設自らに対して、その責任と瑕疵があることを認め、述べていることに他ならないのです。

 下請けの栗木工務店を相手取った裁判において、鹿島建設の統括部長が、「図面どおりの工事が行われていない」と発言した旨、準備書面に明確に記述されているのです。また、同裁判において鹿島建設は、「非常に品質が悪く、設計図どおりに工事されていない」と主張し、一方、自らが被告となった本件裁判において、鹿島建設は、「図面通りに施工をした」と主張しています。
 この主張の矛盾は、自己に不利となる事実は覆い隠し、責任を回避しようという、不誠実極まりないものであると言わざるを得ません。

 日本建設業連合会(日建連)の会長を務めている鹿島建設の中村満義会長は、横浜のマンションにおける杭打ち工事データ改ざん問題等に関して、日建連会長の立場で以下のようにコメントしました。(05(平成27)年10月22日および11月20日 記者会見)

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 鹿島建設の中村会長は、このように、「元請ゼネコンに全責任があり、当事者意識を持って積極的に対応すべき」であるとコメントしていますが、本件マンションに関しては、中村会長のコメントとは正反対の対応となっています。この対応の違いはどこから来るものなのでしょうか?横浜のマンション住民と久留米の住民の命の価値に差があるというのであれば言語道断です。

(つづく)

 
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