朴大統領の弾劾と米国の金利上げ(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
1つ目は、朴大統領の弾劾である。
朴大統領は3回の談話を発表し、国民に謝罪し、退職の時期などを国会に委ねるとした。これに対し、野党は強く反発し、3回目の談話分は政局を混乱に陥れ、朴大統領が時間稼ぎをするための奇策であると反応した。その後も連日朴大統領の退陣要求は広がり、先週末の抗議集会では190万人が集まった。
それに、次々に出てくる証言で、朴大統領は段々窮地に追い込まれている。今は大統領がどんなことを言っても、信用してもらえない状況になっている。朴大統領周辺のごく一握りの取り巻き連中を除いては、大統領に背を向けている。とくに、セウォル号転覆事故の際の“空白の7時間”について、大統領府は噂などをずっと否認してきたが、その防波堤が少し崩れつつあり、真実が明らかになる可能性が高い。そのようななかで、野党3党は朴大統領の12月9日の大統領の弾劾採決方針を決め、3日に弾劾訴求案を国会に提出した。その後、9日に国会で行われた弾劾採決の結果は、299名が投票に参加し、賛成234名、反対56名、棄権2名、無効7名という結果だった。これで朴大統領の大統領としての職務は停止し、憲法裁判所の審理次第で弾劾は決まることになる。
国会で弾劾が可決されるためには、国会議員の3分2の賛成が必要なので、与党から28名の造反が必要であった。ところが、結果は3分2を大幅にオーバー。朴大統領には厳しい現実が突き付けられた。
今回、国民の意思が無視され、国会で弾劾が否決されれば、今後そのような人は決して国会議員に選ばれないという、ただならぬ空気が漂っていた。そのため今回の採決では非朴派と言われた40名だけでなく、親朴系の議員も造反したことになる。
ところが、国会で弾劾を訴追しただけでは、朴大統領の弾劾は決まらない。憲法裁判所で6カ月間にわたって弾劾を審理することになるが、国民は憲法裁判所の審理を待つことなく、即刻の辞職を求めており、今後、どのような展開になるのかは予断を許さない。もう1つは、今週15日の米準備連邦理事会の利上げ発表である。
12月2日にアメリカの雇用統計が発表されたが、結果は非製造業部門雇用者数、失業率ともに改善していることがわかった。これは、アメリカ経済が良好な状態であることの反映で、米国の金利上げの可能性は高まった。
11月17日にイエレン米連邦準備理事会議長は、議会合同経済委員会で証言し、FRB(連邦準備制度理事会)は比較的に早期に利上げする可能性がある認識を示し、12月利上げを明言したと受け止められている。米国の利上げが実施されれば、韓国の金融市場が動揺する可能性がある。
まず、米利上げによって、韓国をはじめとした新興国は資本が流出する。韓国の金融監督院の試算では、20bpの利上げがあれば、3兆ウォンくらい資本流出が発生するという。米国が利上げをした場合、資本流出を防ぐために韓国でも利上げを行えばいいが、今の韓国は家計負債という“時限爆弾”を抱えているため、利上げは難しい。
となると、高い金利を求めて、資金はアメリカに還流することになる。即ち金融市場の不安定につながる。アメリカが利上げを実施すると、韓国のウォンは切り下げになる。為替レートが高くなると、普通は輸出競争力が高くなり、輸出が伸びるが、今回は輸出相手国が資本流出で経済が脆弱化しているので、輸出はあまり伸びない。
その代わり、原油など輸入コストは増大するので、物価だけが上昇し、ますます家計を圧迫することになる。そのようなことが予想されるため、消費者心理は非常に落ち込んだ結果として表れているのである。上記の2つの要因が韓国経済にどのような影響をおよぼすのか、皆、注意深く見守っている。早期に困難を乗り越えて、経済が安定してくれることを願ってやまない。
(了)
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