鹿島建設・耐震偽装マンション問題、第三次耐震診断の結果は?(7)
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――偽装された設計に基づく建築確認申請に対して審査を行い、確認済証を交付したのは久留米市です。なぜ、審査の段階で偽装に気付かなかったのでしょうか。
仲盛 このマンションの構造計算の偽装は、建物に水平に作用する力である地震力を決定する地盤種別の偽装という単純な偽装であり、構造計算書を見れば簡単に発見できる内容です。
また、図面では柱や梁の配置が構造的に成立しない形式となっていますが、構造計算書では強引に成立するようなモデルに偽装されています。さらに、もっと単純に不審に気付く点は、構造計算書の「入力データリスト」の部分が、そっくり欠落しているのです。入力データリストがなければ計算結果との照合ができないので、審査をする場合、最初に確認する箇所です。入力データリストの欠落を久留米市が見落としたことは、もちろんあってはならないことですが、設計者が入力データリストを省いた理由は「入力データリストがあっては都合が悪い」と考えた以外にありません。
そのように、何らかの意図を持ってなされた単純な偽装が見逃された理由は、「久留米市の審査能力が著しく欠如していた」と考える以外にないと思います。――「偽構造計算による検証でも、耐震診断でも、倒壊する危険性が高い」と判断されるほど耐震強度が不足しているマンションについて、久留米市は市民の安全を守る立場から何らかの対応をしているのでしょうか。
仲盛 この裁判を起こす前、マンションの管理組合は、久留米市に対して構造検証結果に基づき「マンションや近隣の住民のため、行政として早く対策を講じて欲しい」と懇願し続けていました。しかし、久留米市は管理組合側が提出した検証結果の内容を再検証しようともせず、「地盤種別を変えて検証しろ」、「設計当時の構造計算プログラムで検証し直せ」と原告に大変な作業を伴うことばかり次々に要求し、その度に管理組合は翻弄され続けました。
管理組合が、久留米市の要求通りの条件による構造検証結果を提出すると、今度は「検証に使った建築確認通知書(副本)の図面や構造計算書は本物かどうかわからない。誰かが中身をすり替えた可能性がある」などと、建築の構造安全性を審査する立場である特定行政庁として、あきれるようなことを主張し始める始末です。他の地域の行政機関と比べても、建物に対する安全性の受け止め方の姿勢の違い、無責任さには言葉を失うばかりです。
建築確認通知書(副本)は、工事期間中は現場事務所に備え置かれ、竣工後に分譲会社を通じて管理組合に引き渡され、管理組合が保管しているものです。管理組合の役員であっても勝手に持ち出せるものではありません。久留米市の突飛な発言は責任逃れのための詭弁であり、そこには、市民の安全を最優先にすべきである行政としての責任感や使命感は微塵も感じられません。当マンション居住者に対する今日までの久留米市の対応は、市民のための行政の姿からは程遠いもので、建物の危険性の訴えには耳を閉ざし、その一方で資産価値を失ったマンションの固定資産税を容赦なく徴収している有様です。マンションの資産価値を失わせた多大なる原因の1つが久留米市によるずさんな建築確認審査であるにもかかわらず、自らの責任については省みようともしない。平然と固定資産税を徴収し続ける久留米市及び担当職員は、市民のための行政を司る役目と認識が大いに欠落しており、私にはまさに、「税金泥棒」「給料泥棒」そのものの姿に映ります。
(つづく)
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