鹿島建設・耐震偽装マンション問題、第三次耐震診断の結果は?(8)
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――久留米市の建築確認がずさんだったため、設計の偽装を見逃したということですが、久留米市は現在も建築確認業務を行っています。久留米市内には無数の建物が建設されていますが、安全性に問題はないのですか。
仲盛 私が、最も危惧しているのが、そのことです。ごく単純な設計の偽装が見逃されているのは、本件マンションに限ったことではないはずです。久留米市が確認申請を交付した建物の多くが、構造上の安全性に問題を抱えている可能性があります。
本件マンションと同じぐらいの耐震強度の建物が、規模を問わず、数多く存在している可能性があると考えれば、大地震が発生した場合、どれほど多くの人々が生命の危機に瀕する被害に見舞われるのか、想像しただけでも恐ろしいことです。――同じような、ずさんな建築確認は、久留米市以外でも行われていた可能性もあるのですか。
仲盛 久留米市と同じような建築確認を行っていた行政庁はあるかもしれません。姉歯事件をきっかけに、平成19(2007)年に建築基準関係法規が改正になり、建築確認制度も、大きく改められました。この法改正後は、構造計算書の一貫性などが厳しく求められるようになり、本件マンションのように、入力データリストが欠落していたり、地盤種別が偽装されていたりするような構造計算書は門前払いとなります。
逆に言えば、平成19年の法改正以前は、建築確認が厳格ではなかったとも言えます。行政庁や建築主事、担当の職員の技術レベルや意識によって差はあったと思いますが、当然のことながら、久留米市のように、技術レベルも意識も低い行政庁が存在していたことは事実です。鉄筋コンクリート造の構造設計においては、柱と梁の接合部の検討をしなければならないことが、「鉄筋コンクリート構造計算規準」に規定されています。しかし、平成19年以前の設計の建物においては、この接合部の検討が行われていない物件がほとんどであり、行政も、建築確認の際それを指摘していませんでした。この件については、別の裁判の中で、国土交通省に対して質問を投げかけていますが、いまだに回答を得ていません。しかし、これは重大な問題なので、やがて、公になることは時間の問題でありましょう。
――設計の問題と同じことを施工に関して言えば、鹿島建設のような、ずさんな施工をされた建物も無数にあるということでしょうか。
仲盛 建設業者の技術レベルや意識・モラルなどの差は、行政庁の間の差と比較できないほど大きな差があると思います。ずさんな施工は限りなくあり得ます。
我が国のトップクラスのゼネコンである鹿島建設ですら、信じられないような施工ミスを、いくつも犯しているのです。過去の工事だけではなく、ごく最近の東京の南青山のマンションでも、建て替えなければならないほどの施工ミスを犯しているのです。全国の大小のゼネコン全ての技術レベルや意識・モラルが、高いことを願いたいものです。
――全国に、危険な建物が無数に存在しているということでしょうか。
仲盛 もちろん、誠実に設計業務を行う設計事務所、使命感を持って建築確認業務を行う行政庁、誠実に施工を行う建設業者がほとんどであると信じています。ただ、我が国を代表するゼネコンである鹿島建設ですら、建物によってはこの程度の技術レベルや意識、モラルで施工されることがあるというのが現実です。
この久留米の耐震強度不足マンションの事件は、行政を含めた、全国の建築関係者に警鐘を鳴らしていると思います。(了)
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