江頭エーザイ、江頭政治の挑戦(後)
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対面型で会話が弾む
「生き残るためには差別化しかない。テーマは生鮮ディスカウントストアのイメージから脱却」。江頭政治社長は、競合店との競争に勝つためにはサービス、品ぞろえに加えてイメージも一新する必要があると考えた。「小手先での改装なら意味がない。やるからには大胆にやらなくては」。腹を括り決断する。「時代も環境も変わり、今さらながら『食から健康を提案する』店舗に変えなければと思いました」。
江頭政治社長は、暗かった店内照明を、リニューアルを機に明るくした。開放的な空間のなかに生鮮食品をずらりと並べた。生鮮食品の売場面積は前の店の1.5倍。九州でも指折りの売上を誇る化粧品の売場を小さくしてまでも生鮮を拡充した。「お客さまが何を求めているか。それは食品、生鮮だと思います。そこにはこだわっていきたかった」。利便性を高めるために、セミセルフレジや電子マネーも導入し、消費者のレジ待ちのストレスの軽減に取り組んだ。
店内を明るくしたのには理由がある。これまで同店に来たことがない人たちにも、足を運んでいただきたいという狙いがあった。「主力の化粧品販売は50代以上の方が多かった。気が付けば30代~40代の女性が少なかった。まさにチャンスロスでした。新店では幅広い年齢層の方にご来店いただきたい。久留米や天神の百貨店に行かなくても、当店でお買い求めいただける。気軽に足を運んでくださるキッカケとなれば」(江頭政治社長)。先を見据えた取り組みは、江頭政男会長をほうふつとさせる。毎月10日の「江頭エーザイの日」は継続。店内には来店客だけ無料でもらえるアルカリイオン水の製造機を導入した。「(アルカリイオン水は)ある有名企業の水と同じものです。コスト高となりますが、ご来店していただくキッカケになればと思っております」と江頭政治社長はコメントする。青果売り場には、対面型のアイランド型キッチンを設けた。カットフルーツなどは目の前で切ったものも購入できる。
また、鮮魚も対面型に変え、氷の上に丸のままの魚(一匹)を並べる。対面型にしてお客さまとの会話を弾ませる。「うちの会長は、いつもお客さまとの対話を重要視していました。それは今も変わりません。店も新しくなって、従業員に話しているのは、『明るく笑顔で接客しましょう』ということです」。店内は木目を基調とした温かみのあるものに変えた。木の温もりが感じられる店、出店地が家具の街・大川だからこそ、こだわった。競合店との差別化を図り、選ばれる店になるために挑戦する。「江頭エーザイに行こう!」。その合言葉を取り戻すため、これからも対話を重視し、お客さまとの距離が近い店舗を目指す。大リニューアルは、父が築き上げたものを未来永劫発展させるための、息子・江頭政治社長の挑戦でもある。地域単独店の意地を見せられるか。今後の同社の展開に注目だ。
(了)
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