【検証】八幡物産『北の国から届いたブルーベリー』届出撤回の顛末(1)
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八幡物産(株)(本社:鳥取県米子市、八幡清志代表)は11月25日、同社が販売する機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』(届出番号:A164)の届出を取り下げた。同品(届出番号A89)は昨年9月16日にも一度受理されたが、同30日に撤回しており、今回が2度目の受理撤回となった。同じ商品名で撤回が2度に及ぶのは今回が初めてのケース。
最初の撤回は、届出に採択した論文が査読付きではなかったという理由からだった。そして今回の撤回も、採択文献が機能性表示の根拠としては弱いとの理由によるもの。同社は消費者庁の指摘に基づき再レビューを行った結果、同品が機能性表示食品として販売するには根拠不足ということがわかったとして撤回を決めたと、自社ホームページなどで発表した。
同品の届出をめぐっては、早くから日本アントシアニン研究会(矢澤一良会長)がその不備を指摘し、八幡物産に届出の取り下げを申し入れていた。しかし八幡物産は、今回の撤回は研究会の指摘とは「無関係」と話している。業界各紙がそのことを報道した。
データ・マックスは八幡物産に対して12月6日に「届出の撤回理由が研究会の指摘と無関係なのか」「撤回の理由と同様の指摘を研究会から受けたことがないか」の確認を求めたが、「質問には答えられない」とのことだった。表に見るとおり、日本アントシアニン研究会が機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』の届出に最初に疑義を指摘したのは2015年12月27日。その後、16年1月7日付で正式に書面で通知。その際、消費者庁にも申し入れを行っている。
そして八幡物産は16年3月1日に、同品を発売。研究会側は3月17日、指摘について質問を繰り返した書面で、八幡物産との過去のやり取りをホームページ上で公開する可能性を示唆した。それに対し八幡物産は、東京地方裁判所に仮処分命令の申し立てを求めることで、研究会がこれまでの経緯を公表できないようにした。その後、八幡側が申し立てを取り下げる6月24日までの約3カ月間、両者は東京地裁の一室で互いの正当性を主張し合った。データ・マックスはこのほど、裁判所で行われた審尋資料を入手した。両者の間で当時、どのような論争が行われていたのか、資料を踏まえながら検証したい。
両者の対立をめぐっては、「事業者間のビジネス上の揉めごと」「事業者間の争いに業界団体が首を突っ込むべきではない」など、誤解に基づいた見解が流布している。裁判所のなかでの審尋は公けにされていないため、憶測の範囲内で話題が取り上げられるに過ぎず、公正な審判が下されないままだった。八幡物産もメディアの取材に対し、研究会の指摘と撤回は無関係だとし、それをそのまま業界紙が報道。今も真相はうやむやのままになっている。
さらに同社は、機能性表示食品を取り下げる方針を明らかにした後も約10日間、自社ホームページ上で同品を機能性表示食品として販売し続けた。その間、実際に同品を注文した消費者は、機能性表示食品としての根拠を持たない『北の国から届いたブルーベリー』を機能性表示食品として受け取っている。「事業者の自己責任に基づく制度」とする消費者庁は、この行為が食品表示法に抵触するとまでは言えないとしている。しかし、実際に機能性表示食品の資格を満たさない商品を購入した一部消費者の利益は守られているのか。ほかにも似たような商品が市場に流通している恐れはないのか。
両者間で交わされた論争を本サイトで紹介し、読者の公平公正な判断を仰ぐことが公けの利益に寄与するものと信じたい。
(つづく)
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