「領袖」となった習近平主席の次の一手!(4)
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(株)アジア通信社 代表取締役社長 徐 静波 氏
日本の「中国本」は諸外国とは違う
――では最後に、日本人の経営者および国民にメッセージをいただけますか。
徐 日本の書店で売られている中国関連の本を読みますと、その多くは、アメリカを含めヨーロッパなどの先進国で売られている本と、その内容や見方が違います。読者の皆さんには、ご自身の目で、等身大の中国を捉えていただきたいと思っています。
日本と中国の間には、今「尖閣諸島」(中国名:釣魚島)や「南シナ海」の問題が横たわっています。しかし、このような歴史が絡む領土問題が短期間で解決した例は世界でいまだかつてありません。これらの問題を拡大して取り上げ、壁を作ってしまわないで、問題は問題としてお互いに考え続け、現実の世界では、それとは別に双方にとって有意義な交流が持てたらと思っています。
経営者の方に申し上げます。私は先日、中国に進出している財閥系企業グループの勉強会に招かれて講演し、終了後、現地トップの方々といろいろと意見の交換をさせていただきました。その結果わかったことは、今、中国で成功している日本企業はほとんど、中国で生産して14億人の中国市場に直接販売している企業です。
逆に中国を加工基地として見てしまうと、労働力コストの上昇によって、日本企業の負担が増えてしまいます。中国人労働者の収入は増えていますので、日本の家電品やカメラ、高額化粧品などを買うことが可能になっています。さらに、製品の優秀性を正しく認識して、日本製品を求める富裕層も膨大な数います。
中国に進出している日本企業は16年8月末で1万3,934社になり、昨年6月と比べ678社増えました(帝国データバンク調べ)。これからの中国進出のご参考にしていただければ幸いです。
日本に関心を持つ中国人は急増中
徐 昨年、来日の中国人は600万人を超えました。一方で、日本人の訪中は激減しています。私は観光客の売上云々を言っているわけではまったくありません。しかし、やはり双方が理解し合う第一歩は、お互いに興味を持って、そして、実際に現地に行って、実体を見ることなのではないでしょうか。
私は今中国最大のインターネットラジオ「喜瑪拉雅FM」(ヒマラヤFM)で中国人に日本のことを紹介する番組『静説日本』を持っています。その聴取者は開始して10カ月で2,400万人に達しました。また、以前から書いている、中国人向けの日本紹介の私のブログは8年間で読者が9,500万人になりました。中国人は日本に興味を持っていろいろと理解しようと努力しています。在中国の日本人の方々も、ありのままの中国をご紹介いただき、日本の皆さんが中国を理解する手助けをしていただけたらと思っています。
新年にあたり、2017年を境に、日中両国民の相互理解がより促進されることを、祈念します。
――本日はありがとうございました。
(了)
【金木 亮憲】<プロフィール>
徐 静波(じょ せいは)
政治・経済ジャーナリスト。(株)アジア通信社社長兼『中国経済新聞』編集長。中国浙江省生まれ。1992年に来日し、東海大学大学院に留学。2000年にアジア通信社を設立し、翌年『中国経済新聞』を創刊。09年に、中国ニュースサイト『日本新聞網』を創刊。著書に『株式会社 中華人民共和国』(PHP)、『2023年の中国』など多数。訳書に『一勝九敗』(柳井正著、北京と台湾で出版)など多数。日本記者クラブ会員。経団連、日本商工会議所、日本新聞協会等で講演、早稲田大学特別非常勤講師も歴任。関連記事
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