世界に挑んだ一年(前)~2016年スポーツ界回顧 新世代のオリンピック
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2016年のスポーツ界を振り返るとき、まずはリオデジャネイロ五輪に触れなければなるまい。8月5日に開会式、21日に閉会式が行われたこの南半球初の五輪では、日本選手団のはつらつとした活躍が目を引いた。特に陸上男子は4×100メートルリレーで銀メダルという結果を挙げ、身体能力がダイレクトに影響するトラック種目では日本人選手は活躍できないという定説を正面から打ち破ってみせた。
その一方で、女子レスリングフリースタイル53kg級では、これまで盤石と思われている吉田沙保里選手が決勝で敗退。吉田は涙を浮かべながら謝罪の言葉を繰り返したが、その姿に彼女が背負わされていた重荷がどれほどのものだったのかを思い、この敗北の結果としてそれを下ろすことができたことにわずかな安堵すら感じた。
その他体操団体で金、柔道男子で金3つ、レスリング女子で金4つなど「お家芸」といわれる種目では順当に成果を挙げたが、それぞれ初出場の選手も多く、若い世代が台頭しつつあることをはっきりと示した。獲得メダル数は41で、日本選手団としては史上最多である。
また、閉会式では次回開催都市である東京がリオデジャネイロから大会旗を引き継ぐ「引継式」に登場。プロモーション映像では、アスリートと日本製アニメ・ゲームのキャラクターが東京の街で躍動する姿を描き、最後にスーパーマリオに扮した安倍首相が土管を通じて東京からリオにワープする演出を見せて全世界の喝さいをさらった。小池百合子都知事も美しい和服姿で登場したが、その後の東京五輪の予算や施設の問題で右往左往する姿を見ると、あるいはこの時が最大の見せ場だったのかもしれない。
9月には、バスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」がスタートした。この10年、日本バスケットボールリーグ(NBL)とbjリーグにわかれ、混乱が続いていた日本のバスケットボール界。最終的に国際バスケットボール連盟から日本バスケットボール協会が資格停止処分を受け、国際試合に出場できなくなったことを機に、統一リーグの結成に至った。テレビでの露出も行われて注目を集めたが、今後どれだけプロリーグとしての足腰を固め、ひいては日本のバスケットボール界の底上げを果たせるかどうかは17年以降にかかっている。06年、せっかくワールドカップの誘致に成功しながら盛り上げに至らなかった苦い記憶を、ぜひ前向きな教訓として生かしてほしい。
(つづく)
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