グルテンは体に悪い?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
欧米では数年前から、「グルテンフリー」と書かれた食品やレストランが増えているようだ。アメリカのファーストフードチェーンの「サブウェイ」では、一部の店舗でグルテンフリーのオプションが開始されるほど、米国の普通の生活にもグルテンフリーの食習慣は深く浸透しているようだ。日本ではグルテンフリーはまだそれほど浸透していないが、今後は日本でもグルテンフリーが注目を集めそうだ。
アメリカでグルテンフリー食品が注目されるようになったのは、ハリウッドの女優や有名セレブたちが、グルテンフリー食品でのダイエットを実践していることが話題になったのがきっかけ。その後、一般人にまでブームが広がったようだ。
さらに、グルテンフリー食品ブームに拍車をかけたのは、テニス世界ランキング1位のジョコビッチ選手が出した本がベストセラーになり、グルテンフリーに対する関心が高まったのも理由の1つである。この本は日本でも翻訳され、話題になっている。
ジョコビッチ選手は、破竹の勢いで世界ランキング3位まで上がるようになったものの、その後は壁にぶつかり、それ以上順位が上がらずに悩んでいたという。また試合の途中、急に呼吸障害が起きたとも本には紹介されている。
ジョコビッチ選手の試合を見守っていた同じセルビア国籍の医者は、ジョコビッチ選手がグルテン過敏性のようなので、その検査を受けてみることを薦めたという。検査を受けると、ジョコビッチ選手の体質はグルテン過敏症であることが判明。医者の助言通り、その後、約2週間にわたって小麦粉の入った食品を絶ってみたところ、本人が実感できるほど体の調子が良くなったという。 念のため、もう一度以前と同じように小麦の入った食品を摂取したところ、体の調子が以前のように悪くなったという。
ジョコビッチ選手はグルテンフリーの食事法を実践したことで、2011年に初の世界ランキング1位を獲得。その後も1位の座からの陥落と奪還を繰り返し、通算在位記録は歴代5位となっている。この本だけでなく 「いつものパンがあなたを殺す」(デイビッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ著)という本も発行され、グルテンが脳細胞にも悪い影響をおよぼすと警告されている。同書によれば、グルテンは小腸に炎症を起こして腸壁に穴を空け、その結果、消化中に発生した毒素が小腸の外に漏れて血液に流され、脳まで届いて脳細胞を破壊する――というようなことが起こるとのことだ。
このような一連の書籍は、小麦粉の食品に対する警鐘を鳴らしていることは事実である。現在、アメリカではグルテンフリー食品がブームになって、10人に1人はグルテンフリー食品を購入しているようだ。
ニューヨークタイムズ紙によると、グルテンフリー食品の市場規模は15年度に200億ドルを上回ったという。アメリカ食品医薬品局(FDA)ではグルテンフリーの規定を設けて、グルテン含有量が20PPM以下の食品に対して、グルテンフリーを認定するマークを付与している。
グルテンフリー食品は、グルテン過敏症の人はもちろん、一般人にまで関心が広がっており、予想以上に市場が拡大し続けている。一部の医者は、グルテンフリー食品がダイエットに効果があると言う。明確な医学的根拠はまだないと指摘しているが、肥満や糖尿病などに悩んでいる人たちだけでなく、それを予防したいという一般人までもがグルテンフリー食品を選択するようになり、市場は大きくなっている。(つづく)
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