グルテンは体に悪い?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
それでは、グルテンとは一体何なのか?
グルテンは小麦粉に入っているグルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質が、水を入れて小麦粉を捏ねる過程で一緒になってできたタンパク質の一種である。このグルテンという成分のおかげで、パンの生地はよく伸びたり、モチモチした食感が出たりする。
もともと小麦には、それほど多くのグルテンは含まれていなかったが、品種改良が繰り返された結果、含有グルテン量が増加。粘り気があって、モチモチした食感を出す小麦が開発され、現在ではそれが主流になっている。だが一方で、グルテン過敏症の人も増加している。
グルテンを摂取すると、消化不良や目眩などの深刻な体調の問題を起こす「セリアック病」の患者は、米国だけでも180万人いるようだ。この数字は、過去の20世紀に比べると4~5倍も増えていて、今後、セリアック病の患者やグルテン過敏症の人は、もっと増え続けることが予想されている。
グルテンは主に小麦や大麦のような穀物に入っており、これらを使った食べ物はパンやピザ、うどん、パスタ、ホットケーキ、シリアル、クッキーなどである。また、ラーメンや醤油などにも入っているようだ。
グルテン過敏症の人のために開発されたグルテンフリー食品は、小麦粉の代わりに米などを使用している。問題は、グルテンを含んでいないと、モチモチした食感を出すことはもちろん、味が劣るという短所があった。ところが、グルテン過敏症や糖尿病の人は、味を犠牲にしてでもグルテン摂取を避けるため、小麦粉を使わない米で作ったパンを食べざるを得なかった。
ところが、グルテンを減らす代わりに、今の米のパンには他の人工添加物が入っていたり、あまり美味しくなかったりして、消費者の評判が悪いのが現状のようだ。韓国の企業「プチアミ」では、米粉を主材料に、有害な人工添加物を一切使わずに、従来の小麦粉のパンのようなモチモチして美味しく、胃にも優しいパンの開発に成功した。努力に努力を重ね、粉砕した米のサイズと粉砕時の圧力、配合比率、熟成の度合い、温度など5~6種類の最適条件を発見。米だけでも従来の小麦粉パンのような味と食感を実現し、消費者から絶賛を受けている。その技術の高さを評価され、今回、韓国の農林水産省大臣賞も受賞している。
もっと驚くべきことは、乳製品を一切使わないアイスクリームの開発にも成功。アイスクリームの本場であるイタリアのリミニという地方でグルテンフリー展示会に参加し、現地の人々を唸らせたという。アメリカの化学会社「デュポン」出身のプチアミの李社長は、本当に健康に良いパンを求めて焦らずに開発を続け、世界の人々の健康に貢献し、コカ・コーラのような世界的な食品会社になりたいとの抱負を語った。
また、今後は日本にも拠点をつくり、日本を中心にアメリカをはじめ、ヨーロッパや中国などの世界への進出に挑みたいと李社長は付け加えた。(了)
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