カジノ誘致に賭ける澤田秀雄社長の野望(後)~ハウステンボス(株)
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海上カジノ船は、日中関係の悪化で撤退
カジノ構想の最初のステップが、ハウステンボス(HTB)子会社のHTBクルーズが運航する長崎~上海間の国際フェリーでのカジノ。パナマ籍の中古船を購入して、日本の法律に触れない公海上でカジノの運営を計画した。
2012年7月25日、「オーシャンローズ」がカジノ場を併設する旅客船として運航をスタートした。船内は9階層の巨大なフロアで構成。その5階部分に、海外のカジノ事業者が運営する300m2のカジノを導入し、ルーレットやバカラ、ブラックジャック、スロットマシンなどの人気カジノゲームを設置した。カジノの合法化をにらみ、カジノ運営ノウハウを蓄積するためである。
しかし、沖縄県の尖閣諸島をめぐって、日中関係が悪化したことを受けて、12年10月から運休。最終的に上海航路から撤退した。
ロボットがディーラーを手助けするロボットカジノを公開
14年7月5日、「ゲームの王国」というアトラクションがオープンした。その1つが「アミューズメントカジノ」。ルーレットやテーブルが並ぶ。20歳以上を対象に、1,000円をチップ100枚に替えて、疑似カジノを楽しむコーナーだ。もちろん換金はできない。
16年2月16日には、人型ロボットがディーラーの進行を手助けするロボットカジノがホテルヨーロッパ内で、関係者向けに1日だけオープンし、メディアに公開された。地元、長崎新聞(2月17日付)は、〈ロボットは、フランスの企業が開発した「NAO(ナオ)」(高さ約60センチ)。複数のセンサーやマイクなどが搭載され、人の声に反応したり、顔認証などができる。HTBでは、ロボットが接客する「変なホテル」で館内の案内をしている。
ルーレット台のそばに3体が配置され、「ゲームをスタートします」「ノーモアベット(賭け時間終了)などと話しながら、模擬カジノを進行〉と伝えた。大村湾で海上カジノ構想
15年11月、HTBはリゾート拡張のため施設から南西約6kmに位置する大村湾の無人島「長島」を購入した。長島の広さは約4万2。
HTBは152万2の広大な敷地がある。「花の王国」に始まり、光、ゲーム、音楽とショー、健康と美、ロボット、と王国シリーズで次々と新施設を建設したため、開発可能な土地は20万2を切ったとみられている。そこで、大村湾の無人島に海上・海中カジノを構想しているという。
企業と自治体とが一体となってカジノ誘致を打ち出しているのは、長崎だけ。2017年は、カジノの導入地域に指定される正念場だ。はたしてハウステンボスは、首尾よくカジノをゲットできるのか――。
(了)
【森村 和男】法人名
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