東京中心の文化は終わった 今こそ本当の地域力を磨こう(後)
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インバウンドには地方を玄関にすべき
――「地方創生」の掛け声のもと、地方が注目されている時代です。秋田のような地方にはどのような可能性があるでしょうか。
山川 秋田の人たちは、なにかというと「自分たちは文化水準が低くてね」といいます。歌舞伎を見たことがない、能狂言を見たことがない、映画なんて年に1回も見ないからだと。でも、秋田にあふれている本物の美しさを、秋田の人たちは自分の血肉にしているんです。降り積もった新雪に降りそそぐ満月の光で雪がきらきら光る、そんな素晴らしい自然の情景を毎日のように見ている。自分の肉体になってしまっていると、なかなか自分が恵まれていることに気がつけないものですね。
あきた芸術村にも海外からお客様が来ていますが、インバウンドが注目される現代こそ地方の時代だと思っています。今でこそ、インバウンド旅客が入出国するのは東京や大阪などの大都市圏に集中していますが、日本には戦後のインフラ整備の結果、他国にはない特徴があります。地方の県にもかならず空港や港湾があり、かならず高速鉄道や高速道路で網の目のようにつながっている。つまり、地方の空港でインバウンド旅客を受け入れて、高速道路や鉄道で東京や大阪などのゴールデン・ルートに流せばいいのです。そうすれば東京や大阪の国際空港の混雑緩和にもなるし、さらに地方側が観光地としての魅力を拡充していけば地方でインバウンド旅客に周遊してもらうこともできるでしょう。特に、複数回日本に来る人たちは、いつまでもゴールデン・ルートばかりを旅行するわけではない。もちろんいつまでも爆買いでもないでしょう。「地方に行って、本当の日本の姿を見てみたい」と思うはずです。それに応える準備をしておかなければいけないですね。
(了)
【文・構成 深水 央】※本記事は2017年1月10日にNETIB-NEWSで掲載したものです。
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