「2017年危機説」の韓国経済(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国経済は危機に瀕している。巷では、2017年に韓国経済は危機に陥る可能性が高いという「2017年危機説」が囁かれている。それでは、なぜそのような噂が立っているかを取り上げてみよう。
08年の世界金融危機を的中させ、一躍有名になったニューヨーク大学のルービニ教授が使い始めて有名になった「パーフェクトストーム」という用語がある。この単語はもともと気象用語で、台風発生時に悪い気象条件が重なり合い、台風がものすごい破壊力を持つようになることを指す。そして経済でいう「パーフェクトストーム」とは、悪い材料が同時に発生して、経済に大混乱をもたらすことを意味する。
まさにそのような現象が、韓国経済に発生しようとしている。2017年の韓国経済の悪材料を挙げるとするならば、次のようになる。「トランプ次期大統領の保護貿易主義」「米国の金利上げによる低金利時代の終息」「中国経済の失速」「韓国主力産業の競争力喪失」「家計負債の問題」「朴大統領スキャンダルによる政局運営の空白」などだ。
韓国経済の根本的な問題点は、人口は5,000万人と少なく、国土は狭く、天然資源に恵まれていなくて、韓国経済は外需に頼らざるを得ないという点だ。輸出と輸入の合計で算出する貿易依存度では、韓国は90%を超えている。すなわち韓国経済は、否が応でも世界の景気変動に晒されている。ところが、世界経済は不安定要因が多く、韓国経済の不透明感は増している。
まず、韓国経済を取り巻く外部要因を見てみよう。
米国では、大方の予想に反してトランプ候補が次期大統領に選出された。トランプ次期大統領はTPPを撤廃し、自国に有利な経済政策を取るとしている。アメリカの雇用創出を最優先するため、メキシコ工場からの輸出にも口を挟むほどである。
韓国の副総理はトランプ次期大統領の強い意志に押されたかたちで、米国との貿易赤字を減らす努力をして行くと発表している。日本を代表するトヨタにも、保護貿易の矛先は向けられている。世界貿易をリードする米国の政策は、世界貿易を萎縮させる可能性は十分ある。また、韓国輸出の頼みの綱ある中国向けの輸出にも変調をきたしている。それにTHAADミサイル配備をめぐって両国間の関係が冷え込み、化粧品や映画、ドラマなどを中心に大きな売上減少などが報告されている。
ヨーロッパもイギリスのEU脱退、テロによる移民受け入れへの反対など、経済だけでなく社会にも不安要素を抱えていて、成長はあまり期待できない。
(つづく)
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