2024年12月27日( 金 )

「学校運営」と「主婦業」両立のキーワードは子どもたちとのコミュニケーション(中)

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(学)宮田学園 理事長 宮田 智栄 氏

 日本最大規模の学生数を誇る西日本国際教育学院を運営する(学)宮田学園の理事長で、3人の子どもを育てる母親でもある宮田智栄氏。夫である宮田道郎学園総長を傍らで支え、ビジネスと家庭での主婦業を両立させてきた同氏に、仕事のこと、家族のこと、さまざまなお話をうかがった。

夫婦二人三脚経営者と母親の二足のわらじ

 ――夫であり、学園総長の道郎氏とともに、長年学校運営に携わってきたことについて、一緒にやっていて良かった点はありますか?

 宮田 総長からは「若い人の考え方を取り入れた学校運営をやってくれている。男性と女性という、異なる視点で経営を見てくれている」と言ってもらっています。実際には、国際貢献専門大学校では、日本語教師養成学科の根幹をつくりました。これまでは日本人が日本語学校の教師になるのが世の中の当たり前でしたが、「外国人が日本語を教える教師になる」という、これまでにない未知の領域に踏み込んだ、全く新しいカリキュラムを考えたりしました。

miyata2 また、最近では、西日本国際教育学院の学生たちが成人式に参加するようになりました。せっかく日本に来て、住民票も福岡市に移して、日本で20歳を迎えるのですから、日本ならではのお祝い行事に参加させてあげようと、先日、学校の方で送迎し、成人式に臨みました。会場だったマリンメッセ福岡の帰りに、学校に寄ってもらって、みんなでお祝いの食事をしました。みんなとても喜んでくれました。こういうことは、女性経営者というより、母親としての気持ちでしょうね。日本に来た時から、留学生みんなの母親代わりになって、少しでも不安を和らげてあげて、信頼関係を築いていくことを大切にやってきました。スタッフに対しても、教師と学生、学校職員と学生という関係だけでなく、日本に来てからのお兄さん、お姉さんになってあげなさいと指導しています。社会人としてのしつけやマナーにも気を配ってほしいと思います。そういうメンタルな部分がとくに気になるのは、総長とはまた違った役回りなのかなと思っています。

 ――経営者と母親の両立について、どのようにこなしていますか?

 宮田 難関大学を目指す娘は、毎日塾通いをしていました。母親の私が送り迎えをずっとやってきました。学校の仕事と、母としての仕事の両立はやはり忙しいものです。夜に宴席があったとしても、午後9時半には、娘の塾のお迎えがあるので、お酒を飲むわけにはいきません。受験前のデリケートな時期は特に、「塾のお迎え」の時間が1日の仕事の区切りという感じでした。家に帰ってからも、娘と遅い夕食をして、片付けや入浴などを済ませたら、自分の時間なんかはほとんどなく、寝るのは深夜になってしまいます。夫からは、子ども3人の弁当作りを長年欠かさずやってから出勤することに関してはよく褒められています(笑)。

miyata ただ、どんなに忙しくても子どもとのコミュニケーションの時間はしっかり取るよう心がけています。これは、私の母親が、昔ながらの料亭で接客商売をしていたからかもしれませんが、昔からコミュニケーションを大事にしていました。朝食の時、夕食の時、風呂の時間など、捻出しようと思えば、コミュニケーションをとる時間は作れます。会話の内容も重要です。私はよく娘たちに仕事の相談をします。「こういう場合はどうしたらいいか?」など、経営者として日常に起こるさまざまな悩みや問題を相談したりします。娘を子どもとしてではなく、一人前の人間として接すると、娘からは「学校でこんなことがあった」「先生がこんなことを話してくれた」など、日常の出来事を話してくれるようになります。

 また、長女はよく職場に顔を出します。これは娘を「グローバル化」させて、育てているからかもしれませんが、娘に自分たちの仕事を見せていると、学校の仕事が忙しくて、家事がおろそかになっていても、娘が手伝ってくれるようになります。この間の成人式では、20歳を迎えた留学生たちへのお祝いにと、娘たちが買い出しや配膳の手伝いをしてくれました。

 私の職場は、留学生はもちろんですが、教職員も若い人たちが中心です。若い時は目の前のことに忙殺されますが、家庭や子どもを持ったら、「前もって準備する」という段取りがとくに重要になります。仕事においても、主婦や母親ならではの「段取り力」は発揮できると思いますので、若い職員たちにも、そういった「段取り力」は教えていきたいですね。

(つづく)
【杉本 尚丈】

■INFORMATION
所在地:福岡市南区塩原4-17-17
TEL:092-541-8450
URL:http://miyatagakuen.ac.jp

 
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