豊洲市場、ベンゼンよりも危険な建築強度偽装を無視!(後)
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協同組合建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二
なぜ、耐震強度が不足した状態で、豊洲新市場の建物が建設されたのか? 構造計算を偽装した日建設計、そして、偽装をチェックできなかった東京都の二者が、それぞれの責任を果たしていないからです。構造計算の偽装は言語道断です。それも、国内最大手の設計事務所である日建設計による構造計算の偽装です。発注者であり、かつ、建築行政の責任官庁である東京都は、日建設計による構造計算に不審な点があれば指摘をし、是正させなければなりません。これを指摘できなかったということは、東京都が審査能力を有していないのか、日建設計と東京都が特別な関係にあるのか、原因は不明ですが、耐震強度が不足した公共建築物、しかも、都民の台所といわれる市場が耐震強度不足という前代未聞の事態となったのです。首都圏で大地震が発生した場合に、食料の供給基地である市場が真っ先に倒壊し、被災した都民に食料を供給できないという最悪の事態となってしまうのです。
市場関係業者は、推進派・反対派に限らず、一旦移転をしてしまえば二度と築地に戻ることができず、取り返しのつかない損害が発生し、その損害は業者自身が負担しなければなりません。ゆえに、そうなるまえに警告をいたします。
現在、福岡県久留米市で、構造計算の偽装と、施工における手抜き・ミスによる不具合が原因で、耐震強度が35%という分譲マンションの建替えを巡って、裁判が行われています。
このマンションにおける構造計算の偽装は、豊洲新市場と共通しているものがあります。
鉄骨鉄筋コンクリート造のピン柱脚における鉄量の規定を満足していません(柱脚の鉄量は規定の48%)。また、保有水平耐力計算における構造特性係数(Ds値)も偽装しています。逆に言えば、20年前に設計された建物と同じ手法の構造計算の偽装を、現在でも、最大手の日建設計が行ったということです。
建築確認において偽装を見逃した久留米市の責任は非常に重いものです。しかし、久留米市は責任回避に必死であり、「市民の安全」など、全く考えておらず、行政としての使命を放棄してしまっています。この久留米市のマンションを施工したのは、スーパーゼネコンと言われている鹿島建設です。このマンションの施工に関して、鹿島建設による、数え切れないほどの施工の不具合が判明しています。東京都や日建設計が、久留米市や鹿島建設のように責任回避に走らず、都民ファーストで対応されることを願っております。
(了)
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