2024年11月05日( 火 )

顧客第一主義で躍進続く~独自のWebコンサルで海外マーケットも見据える(2)

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(株)ペンシル 代表取締役社長COO 倉橋 美佳 氏

 独自の研究で蓄積してきたノウハウをもとにWebサイトを分析し、クライアントの売上や成約アップに繋げていく研究開発型Webコンサルティングを手がける(株)ペンシル。同社は2016年6月1日付で、それまで取締役COO(最高執行責任者)を務めてきた倉橋美佳氏が代表取締役社長COOに就任した。倉橋社長に社長就任後6カ月間の進捗と変革、17年以降の見通しについてお話をうかがった。

(聞き手:弊社リサーチ事業部部長・鹿島 譲二)

 ――若い人材の扱いに頭を抱える経営者も多いなかで、まさに才能を持つ若いスタッフに上手に力を発揮させていらっしゃいますね。

pencil 倉橋 私も若者が考えることはなかなかわからないです(笑)。しかし若い人も、主張の本質は我々と大きく変わらないのではないでしょうか。表現することや主張することに、単純に慣れや習慣がないだけのように感じます。「やりたい人」と聞くと手は挙がりにくいですが、個別に聞くと積極的に話をしてくれ、やりたいことを教えてくれます。相手の行動を待つだけでなく、上に立つ人間が話す機会を作ることも大事なのではないかと考えています。

 また、人材のなかでも、「問題解決をしたい」というタイプは弊社に向いていると感じます。インターネット業界は少し派手な人たちも多いですが、弊社のスタッフは「目の前のことを解決したい」人や、「問題を放置できない」タイプです。そういう問題解決型の人は、クライアントに向き合って、「できない」ではなく「どうしたらできますか」と繰り返し問うことができる。問題に粘り強く向き合える人は伸びますし、成果も出します。

 新入社員は引き継ぎ案件や、先輩社員と一緒に業務を行います。先輩とクライアントとの関係性を見ながら「前任者だったら何というか、どう考えるか」という思考回路を持ち、担当クライアントとの新たな関係性を構築していくのです。そういう意味で、クライアントに育てていただいている部分も大きいですね。

 ――倉橋社長は、現在は直接案件を担当されていないのでしょうか。

 倉橋 今でも担当案件はあります。しかし、案件に時間を割ける割合が減った私が担当することで、クライアントに迷惑をかけることや、成果を出せないようなことが一番あってはならないことです。だから自分が受け持つのではなく、スタッフに任せたほうが成果が出ると考えられるときは、好きな仕事でも泣く泣く部下に渡しています(笑)。最終的に成果を出して、クライアントに満足していただくことがゴールですから。

 ――案件を渡す・渡さないと決める基準や、経験則などはあるのでしょうか。

 倉橋 2つあります。1つは「そのクライアントにどれだけ向き合えるか」。案件を担当するには、多くの時間が必要になります。事前の勉強が非常に大事で、担当するクライアントや、クライアントの所属する業界など、一般知識だけでは得られない勉強の繰り返しが必須となるためです。知見を広げるためにもさまざまな本を読む必要があり、時間の有無でどうしても差が出ます。

 もう1つは「クライアントに対する想い」。10社やれば10分の1の愛情になりがちです。想いが強い人に案件を振り分けることで、「自分にとってオンリーワンの会社だ」と思える。受け持った会社に注力でき、担当のクライアントに何とか応えたいと思うようになる。

 以上から、時間と愛情や思い入れを考えたときに、「この人のほうが適任だな」となります。結果を出すというのは一筋縄ではいかないことですので、その苦労をクライアントと一緒に乗り越えていけるかというのは、それだけの強い“想い”がないと最終的に辿り着くことができません。

(つづく)
【文・構成:中尾 眞幸】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:倉橋 美佳
所在地:福岡市中央区天神1-3-38 天神121ビル5F
設 立:1995年2月
資本金:5,200万円
売上高:(16/2)21億5,462万円
URL:http://www.pencil.co.jp/

<プロフィール>
kurahasi_pr倉橋 美佳(くらはし・みか)
1978年生まれ、福岡市出身。九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)卒業後、2003年に(株)ペンシルに入社。R&D事業部マネージャー、取締役を経て、14年に取締役COOに就任。昨年6月に、代表取締役社長COOに就任した。5月20日に営業を開始した台湾現地法人の台灣朋守有限公司の董事長も務めている。

 
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