エストラストが西部ガスの傘下に~その真相に迫る(1)
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1月21日(土)の午前2時、日経新聞が電子版で「西部ガス、マンション販売のエストラストを買収へ」という記事を速報した。
秘密裡に交渉を進めていたことが表に出てしまったため、あわてた(株)エストラスト(本社:山口県下関市)は別紙の通り、同日付で、「この件に関して検討を進めていることは事実ですが、現時点で、当社として決定した事実はありません。」と苦しい弁明をしている。
このような適時開示をするハメになった原因が、エストラスト側か、それとも西部ガス(株)(本社:福岡市博多区)側にあるのかは定かではないが、情報管理の杜撰さが露呈したと言えよう。
この開示を受けて、筆者は1月23日(月)の午後2時過ぎ、エストラスト本社を訪問。笹原社長および財務担当の藤田尚久常務に面会を申し入れたが、まさに取締役会議の最中だったのだろうか、不在ということで面談することはできなかった。
応対した女子事務員に、「西部ガスの傘下に入るという報道がされていますが、それが本当かどうか確認するために来ました。他にお話ができる担当者はいらっしゃいませんか」と尋ねると、すでに多くの報道機関が訪れていたのだろうか、「今はいませんし、新聞報道のようなことはないです」と、手慣れた言葉が半ドアの向こうから返ってきたのが、今も印象に残っている。山口県下関市に本社を構える上場企業は、わずかに6社。山口銀行を傘下に持つ(株)山口フィナンシャルグループ。ハム・ソーセージなどの食品製造の林兼産業(株)。ボイラー製造の(株)長府製作所。残る3社は、(株)エストラストと、エストラストの生みの親たる(株)原弘産、そして(株)東武住販で、いずれも不動産関連業者。
6社のなかで、新進気鋭の企業と見られていたのがエストラスト。そのエストラストが、西部ガスに身売りするとの報道がなされたのだ。下関市内で不動産販売業を営むある知人は、「最近、エストラストは工事が遅れ気味でかなり厳しいのでは、と業界内で噂になっていた。否定はしてはいるものの、間違いなく報道の通りとなるよ」と語っていた。
エストラストが西部ガスの傘下に入るとの報道は、下関の経済界――とくに地元の建設業者の間に瞬く間に広がり、大きな衝撃を与えていることがわかった。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】関連キーワード
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