【検証】八幡物産『北の国から届いたブルーベリー』届出撤回の顛末(9)
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八幡物産は主張書面(3)で、「(疑義の指摘に関する)やりとり」を公表することについて、以下の通り、その正当性を繰り返し否定している。
根拠として、「真実性・相当性」の判断をする上では、その表現者の意図だけではなく、客観的状態とそれが与える名誉毀損の効果も考慮し、それらの関係を踏まえて考察されるべきだとしている。
具体的には、ある者(甲者)が犯罪者として疑われている例を引いて説明している。
乙が甲に対して「(甲は)そのような罪を犯した犯人か? アリバイはあるか?」と書面で照会したとする。甲はそのような罪を犯したことがないため、乙の照会に対して「そのような罪は犯しておらず、犯人ではない。アリバイと言えるかどうか分からないが、その時には一人でこれこれをしていた」と回答した。そのやりとりを公表した場合、そのやりとり自体は真実ではあるが、名誉毀損は別のもので、「甲がある罪を犯した」という内容について生じるものであり、「その点の名誉毀損については、その点の真実性・相当性の証明が不可欠である」としている。機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』(届出番号A164)をめぐる両者の「やりとり」に引き直せば、「本件商品は機能性表示食品と表示するだけの科学的根拠を欠いている」、「本件商品は機能性表示食品として表示できたとしても、実質的には科学的根拠が不十分である」との研究会の主張に対し、八幡物産が「自分としては十分な根拠があると考えている。どのような点で不十分ということか」という状況と同じことで、このやりとりを公表した場合、「科学的根拠が不十分または欠缺している」との名誉毀損が生じるとしている。
さらに、結果的に八幡物産側の主張が正当だったとしても、そこに至る「疑われた」経過を公表することで、一般消費者が「よくわからないが、疑われたことがある」として同品の購買を控えることになりかねないと主張している。
以上入手した文書を見るかぎり、研究会と八幡物産の両者はこの間、裁判所に促され、メールで意見交換を行っているようだが、内容が煩雑にわたりすぎるために割愛する。
争点はあくまで、届出情報の妥当性をめぐる両者のやりとりを公開することが是か非かという問題だ。その中身が、研究会が主張する(1)「アントシアニン」には目の疲労感やピント調節機能の低下を緩和する、などの機能は報告されていない、(2)研究レビューで採択された文献は、届出人(八幡物産)が使用している成分と同等でない成分を対象に論述した論文である、(3)「目の疲労感の緩和」に有効という説は、引用文献で否定的な結果が示されている――の3点で、この主張をめぐる両者のやりとりを公開することが果たして、「公共性」「公益性」「真実性」「相当性」を満たす条件となるかどうかを争っているのである。(つづく)
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