トランプ氏の北方領土カジノ構想 日米ロ3カ国のベンチャービジネスとなるか(5)
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国際政治経済学者 浜田 和幸 氏
さて、大統領就任から2週間。「トランプ大統領」はどの様な政策を行うのか。今までの常識とは違う政治を行う意欲を見せています。TPP離脱、米露関係の改善、そして国際協調主義からの脱却、テロとの戦いや移民、難民の入国制限等、次々と大統領令を打ち出しています。国連への供出金削減や地球温暖化対策を提唱するパリ協定からも離脱すると、発言はエスカレートする一方です。
こうした孤立主義的傾向を深めるアメリカに対して、新たなプレイヤーとして注目されるのが中国の存在です。1月17日からスイスで開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)に、初めて中国・習近平主席が参加しました。これは「米国が孤立主義に回帰するのなら、中国が国際協調主義のリーダーシップを取る」と、トランプ政権への「挑戦状」であるかのごときアピールです。
日本としても、中国との関係は軽視できませんが、米露関係と同じく、米中関係も無視できません。トランプ氏は台湾・蔡英文総統に接近し、「1つの中国」政策の変更にも言及しているからです。また、次期国務長官に対中強硬派のレックス・テラーソン氏を指名しました。「南シナ海での中国の埋め立ては認めない」との立場で、対決姿勢を見せています。
一方でロシアも北方領土にミサイルを配備しており、米、露、中の関係は緊迫しています。領土問題の当事国である日本も慎重に対処すべきです。北方領土問題についてはトランプ大統領という新たなプレイヤーが出てきたことは、想定外の展開につながるかも知れません。
トランプ氏は以前より、自分の子ども達に世界を見るように勧めていました。「子ども達にも世界情勢を理解させたい」との事で、ホワイトハウスやCIAの会議に出席させようとして、政治問題化しているほどです。彼の子ども達は皆「トランプの子ども」で、成功には敏感です。子ども達はロシアもたびたび訪問した事があり、やはりパイプを持っています。日本人はこれまで外交は対米関係だけを見てきましたが、ロシアとのパイプが厚いトランプ政権と接するのであれば、日米だけでなく、「日米露」の三国で接しなければならなくなるでしょう。まさに複眼思考が求められるわけです。
ビジネスマンとしてのトランプ氏は世界と勝負し、必ず勝つための切り口として、様々なカードを持っています。多くのカードを持ち、相手の状況に合わせて切り替える。世界を渡り歩いた名ディール・メーカーの技を、日本人も学ぶべきだと思います。
(了)
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。
今年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見〜「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。関連キーワード
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