アンチ・トランプ運動を陰で支える天才投資家ソロスの狙い(1)
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国際政治経済学者 浜田 和幸 氏
アメリカではトランプ新大統領に対する反対運動が根強く、あたかも国が二分されたような状況が続いている。これまでは、激しい選挙戦であったとしても、結果が出た後は挙国一致体制を最初の100日間は模索するのが民主主義の伝統とされてきた。ところが、今回は大統領の就任式が終わった後も、全米各地で「アンチ・トランプ」活動が勢いを増す一方である。
「ムーブ・オン」など、さまざまな市民団体が「反トランプ」の旗を掲げ、連日、デモや集会を繰り広げ、トランプの名前の付いたホテル、マンション、ゴルフクラブ、はたまた娘のイバンカ・トランプが開発したファッションを扱う百貨店にまで不買運動が広がっている。こうしたデモ活動に参加している人々の中には本心でトランプ大統領の掲げる移民・難民政策などに危機感を抱いている場合もあれば、デモの主催者からの報酬を目当てに集まっている場合もある。
ミシガン州立大学のデビット・カーター教授によれば、「アメリカには反対運動の参加者は金を目当てに集まるという伝統がある」とのこと。同教授の調査によって、こうしたデモの主催者は「参加者を守るために弁護士を雇い、宿泊先となるモーテルやアパートを借り上げ、ケガに備えて医療保険も用意している。当然、日当が支払われる」ことが明らかにされている。警察もそうした状況は把握しているようだ。
では、今回の反トランプ運動の主催団体はどこから資金を得ているのだろうか。内外の報道を見てみると、ジョージ・ソロスという名前が挙がってくる。1月20日の大統領就任式典の妨害活動や、その後もデモを呼びかけている市民団体の内、少なくとも56団体がソロス氏から資金提供を受けていることが明らかになった。
ワシントンに拠点を構えるシンクタンク「キャピタル・リサーチ・センター」によれば、「全米移民法律センター」は460万ドル、「アーバン・ジャスティス・センター」は62万1,000 ドルといった具合にソロス財団から資金提供を受けているとのこと。こうした団体はトランプ政権が進める移民・難民政策は憲法違反に当たるとして、各地の裁判所に訴えを起こしている。その意味では、ソロス氏の別動隊といっても過言ではないだろう。
たとえば、ニューヨークをはじめ全米15の州では「移民・難民の入国禁止に関するトランプの大統領令は無効だ」として訴えがなされている。そうした活動の現場ではソロス氏の息子ら関係者が行動を共にしており、アンチ・トランプ活動を加速させている様子がうかがえる。
思えば、同氏は、選挙期間中、一貫してヒラリー・クリントン候補を応援していたものだ。ソロス氏は自らの財団を通じて、元大統領のビル・クリントンやヒラリー夫人を支援していたことは、以前からよく知られていた。しかし、トランプ大統領が誕生した後も、トランプ氏を引きずり降ろそうと、水面下で工作を続けているわけで、その執拗な性格は恐ろしい限りだ。
(つづく)
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。
今年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見〜「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。関連キーワード
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