【検証】八幡物産『北の国から届いたブルーベリー』届出撤回の顛末(10)
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日本アントシアニン研究会は6月6日付の主張書面(1)で、八幡物産の主張書面(2)(3)に対し、全面的に否認して争う姿勢を打ち出した。
同研究会は、(1)「アントシアニン」には目の疲労感やピント調節機能の低下を緩和する、などの機能は報告されていない、(2)研究レビューで採択された文献は、届出人(八幡物産)が使用している成分と同等でない成分を対象に論述した論文である、(3)「目の疲労感の緩和」に有効という説は、引用文献で否定的な結果が示されている――の3点について、(2)の同等性に関する主張はさておき、(1)と(3)の指摘が「いずれも真実性を有することは明らか」と主張している。
その根拠について、八幡物産が研究レビューで機能性表示の根拠として採択している論文「VDT作業負荷による眼精疲労自覚症状および調節機能障害に対するビルベリー果実由来アントシアニン含有食品の保護的効果」の159ページ2段目の記述を引用して説明している。当該記述は、「各被験者におけるVDT作業負荷に対する眼精疲労自覚症状および調節機能の反応性」を評価した部分で、VAS法(視覚的評価スケール)によってプラセボ摂取群とビルベリー由来アントシアニン含有食品(BA食品)摂取群のVDT作業負荷感性被験者の負荷の影響が28日間の介入期間中にどのように変化したかを観察・評価した試験である。
論文の記述をそのまま引用すると「day-0,day-14,およびday-28の3つの時点で評価した症状VASスコアの負荷前後の変化量についての各時点での群間比較からは、いずれの時点でも有意な差は認められなかった」と、目の疲労感の緩和について否定的な記述がなされている。
論文中の「VDT作業負荷前後の症状VASスコアの測定結果」を示すグラフでも、P値(有意確率)が、day-0でP<0.056、day-14でP<0.588、day-28でP<0.531と有意水準を示す0.05を大幅に上回っている。ただし筆者の見解として、(2)の同等性については、現状のガイドラインでは原材料の同一性までは要求していないため、論文で用いられた試料と商品に用いられた原材料が同じものである必要がないことを断っておく。
これに対して八幡物産は、主張書面(4)で「アントシアニンの機能性がエキス全体で効くのか、それともアントシアニン成分で効くのか」、「(研究会の主張どおり)群内比較(BA食品の摂取前と摂取後の比較)だけで有意差があるに過ぎないとなると、論文は『目の疲労感の緩和』を否定する文献ということになるのではないか」、「機能性表示食品の届出を行っているほかの製品についてもすべて否定されてしまうのではないか」などと反論し、裁判所が提示した和解についても「議論が深まったとはいえない現時点において、到底応じられる内容ではない」と一蹴している。
しかし、「BA食品がビルベリーエキス全体で効くこと」、「原著論文が『目の疲労感の緩和』について肯定していない」点については、論文の著者もすでに認めていることだし、「ほかの届出受理製品の正当性」については、当該事件とは直接関係のない話である。
(つづく)
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