マングローブ植林事業で地球環境保全に貢献、今年は新たなステージへ(前)
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ワイエルフォレスト(株)
マングローブ林の保有面積で世界一を誇るインドネシアで、マングローブ植林事業を展開するワイエルフォレスト(株)。同社では地域に密着し、地元住民と直接一緒に仕事をする体制を構築したうえで、マングローブの再生と地元住民の持続的な発展に向けて、さまざまな取り組みを行っている。
マングローブとは、海水と淡水が混じり合う潮間帯に生息する植物の総称であり、マングローブという名前の固有の木があるわけではない。主に東南アジアやインド沿岸、南太平洋、オーストラリア、アフリカ、アメリカなど、熱帯から亜熱帯の世界各地に分布しており、日本では沖縄県や鹿児島県などに自然分布。“海のゆりかご”と呼ばれるほど生物多様性にあふれた環境を形成する能力を持っており、多くの生物を育む場所となっている。
このマングローブは、水質を浄化する性質を有するほか、二酸化炭素吸収量が植物のなかでもトップクラス。また、その特徴的な形状の根により、土壌をつかむことで海岸浸食を防止するほか、津波や高波などの自然災害の被害を軽減する防波堤の機能も期待できる。地球環境を考えるうえで、なくてはならない植物なのである。そのマングローブだが、近年は開発による伐採が問題になっている。たとえば東南アジアでは、木炭の材料とするための伐採のほか、海沿いの湿地をエビ養殖場とするための開発によって、あちこちでマングローブが消滅しつつある。
同社では、インドネシア子会社のPT. Yamamoto Asriを通じて、干潟でのマングローブ植林活動や養殖池跡地での森林再生事業などを手がけるほか、現在では森林保全事業(REDD+事業)にもとくに力を入れている。
「REDD+」(レッドプラス)とは、途上国が自国の森林を保全するため取り組んでいる活動に対し、経済的な利益を国際社会が提供するというもの。これは、森林を伐採するよりも保全するほうが経済的に高い利益を生むようにすることで、森林破壊と温暖化を防止する施策。また、地域のコミュニティや先住民族の権利も守りながら、このREDD+が実施されれば、気候変動や生物多様性の劣化を食い止めながら、地域の人たちの生活にも恩恵をもたらすことが期待される。現在、世界の温室効果ガスの排出量の約2割は、森林の減少および劣化による炭素ストックの排出に由来している。森林は、大気中の二酸化炭素を吸収して炭素を蓄積することで温室効果ガスを削減することができるため、森林を守り保全することは、その温室効果ガスの排出を抑えることにもつながり、ひいては地球温暖化対策として大変効果的だ。
現在、同社では、インドネシア南スマトラ州オーガン・コムリン・イリール県の沿岸域保護林で、REDD+事業を展開。この現場は、同社が2006年より干潟での新規植林を実施していた場所のため、すでに地元コミュニティとの関係構築・連携ができ上がっているのが大きな強みだ。
同社ではインドネシアでREDD+事業を実施するために、13年7月に「保護林における環境サービス利用事業許可(IUPJL-HL)」を取得。この「IUPJL-HL」の取得は、インドネシア国内において初めての事例となる。インドネシア国内の林業関係の許可は、インドネシア国籍の企業・団体しか取得できないため、同社は以前より付き合いのあるインドネシア企業の「PT. Tiara Asia Permai」と共同事業契約を締結することで、「IUPJL-HL」の取得に漕ぎ着けた。現在、このREDD+事業は「PT. Tiara Asia Permai」と同社との共同で実施されている。(つづく)
【坂田 憲治】<COMPANY INFORMATION>
ワイエルフォレスト(株)
代表取締役会長:山本 亮
代表取締役社長:阿久根 直人
所在地:福岡市博多区築港本町6-1 印刷会館3F
設 立:2004年7月
資本金:7,000万円
TEL:092-263-8221
URL:http://www.ylforest.co.jp/関連記事
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