九州地銀の2017年3月期(第3四半期決算)を検証(6)
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これから九州地銀(18行)の2017年3月期 第3四半期の貸出金残高を検証していくことにしたい。【別表1】を見ていただきたい。
この表から見えるもの
◆グループ別の第3四半期の貸出金残高のトップはふくおかFGで11兆3,827億円(前期比+5,615億円、+5.2%)。(以下前期比は省略する)
・第2位は西日本FHで6兆7,424億円(+614億円、0.9%)。第3位は九州FGで6兆242億円(+3,289億円、5.8%)となり、初の6兆円台乗せを達成している。
◆銀行別で見ると、トップは福岡銀行で8兆7,534億円(+4,928億円、6.0%)。九州地銀の増加額
1兆1,043億円の44.6%を占めている。第2位は西日本シティ銀行で6兆5,088億円(+569億円、0.9%)と、伸びが弱くなっているのが目につく。・第3位は鹿児島銀行で3兆251億円(+1,608億円、5.6%)。第4位は同じグループの肥後銀行で2兆9,990億円(+1,681億円、5.9%)となっている。貸出金残高の順位では後塵を拝しているものの、増加額では73億円上回っており、面目は保った格好だ。期末の3兆円台乗せは確実で、九州FG内の競争は西日本FHを追撃する態勢づくりのように見える。
◆貸出金残高において順位変動があった。第5位だった大分銀行が、6位の宮崎銀行にその座を譲ったのだ。【下表2】を見ていただきたい。
第2四半期(中間)まで大分銀行が118億円上回っていたが、第3四半期に入ると大分銀行の▲360億円に対して、宮崎銀行は+658億円と大幅に増加。一気に逆転されて770億円のリードを許すことになったのだ。
大分銀行の総合企画部に問い合わせたところ、「県外の貸出金が減少したもの。地域密着型金融に徹するためであり、県内の事業性貸出金と個人ローンは増加しています」との答えが返ってきた。どこの支店とは言わなかったものの、主に東京支店の「利幅の薄いスプレッド貸」をやめたものと推測される。まとめ
日銀の「マイナス金利政策」は、地域金融機関に対して積極的に貸出をするようにとのサイン。 しかし地域経済にその活力はないというのが実態ではないだろうか。九州地銀18行のうち、貸出金が前期比マイナスは大分銀行のほかに、十八銀行、宮崎太陽銀行、豊和銀行と4行もあるからだ。
九州地銀の貸出金残高は34兆1,761億円。ふくおかFG、西日本FH、九州FGの3グループの貸出金残高は24兆1,493億円(+9,518億円、4.1%)で、全体の70.6%を占めている。今後も寡占化が進むものと見られ、貸出金の順位表からも金融再編は「春遠からじ」の様相を呈していると言えるのではないだろうか。
(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】関連キーワード
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