九州地銀の2017年3月期(第3四半期決算)を検証(7)
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これまで、九州地銀の経営成績・預金残高・貸出金残高の推移などを取り上げてきた。銀行の大きな収益は、預貸金の利ザヤである。その収益源である貸出金のボリュームおよび経営の健全性の指標となる預貸率について、検証していくことにしたい。【表1】を見ていただきたい。
この表から見えるもの
貸出金残高トップは福岡銀行で、8兆7,534億円。預貸率は89.3%と九州地銀18行のうち、3番目に高い比率となっている。第2位は西日本シティ銀行で6兆5,088億円。預貸率は83.0%で4番目の比率。
第3位は鹿児島銀行で3兆251億円。預貸率は79.9%で6番目の比率となっている。第4位は同じグループの肥後銀行で、2兆9,990億円。預貸率は67.3%で、14番目と低い比率になっている。鹿児島銀行は預貸率を前年比+3.6%となっているが、肥後銀行は±0%のままとなっており、資金需要の掘り起こしが大きな課題といえそうだ。
第5位は宮崎銀行で1兆8,292億円。預貸率は75.7%で12番目に低いが、70%台半ばであり、宮崎県の経済基盤などを考慮すれば、健闘しているといえるのかもしれない。
第6位は大分銀行で1兆7,522億円(▲485億円、▲2.7%)。預貸率は60.6%で17番目のブービー。貸出金が大きく減少した要因を尋ねると、『県外の利幅の薄いスプレッド貸をやめた。今後は県内の貸出を増やしていきたい』との回答を受けたが、やや遅きに失した感は否めないようだ。第7位は十八銀行で1兆5,155億円。預貸率は58.1%で最下位。しかも60%を切っているのは九州地銀18行中、十八銀行だけとなっている。基本的に順番は問題ではないが、その銀行がどの位置にいるかによって、地域経済の尺度を図る目安となる。十八銀行がふくおかFGとの経営統合を決断した理由は、この辺にもあるのではないだろうか。
預貸率が一番高いのは北九州銀行で、総預金が9,761億円に対して貸出金は1兆282億円(+926億円、9.9%)。一方、預金残高は9,356億円(+799億円、9.3%)で預貸率は105.3%。いわゆるオーバーローンであり、預貸金のバランスが問題といえそうだ。
まとめ
この表から見えるのは、福岡市に本店を構える福岡銀行と西日本シティ銀行の2行の預貸率は80%台で、貸出金・預金・預貸率ともバランスが取れているのがわかる。鹿児島銀行も貸出金残高は西日本シティの半分以下だが、預貸率79.9%と善戦しているといえよう。
九州地銀18行のうち、預貸率90%以上は2行。80%台は3行。70%台は7行。60%台は5行。50%台は1行となっている。全体的に、第一地銀は預貸率が低く、第二地銀は預貸率が高い傾向が見られる。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」ではないが、今こそ地銀に求められているのは「わが県・ファースト」ではないだろうか。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】※クリックで拡大
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