2024年11月22日( 金 )

新たな水産への果敢な『挑戦』(後)

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(株)三陽

ゴールのない飽くなき挑戦

 1991年3月の創業以来、スローガンとして“挑戦”を掲げてきた同社。北部九州の主要な水揚港に拠点を構えて鮮魚仲買・仲卸を行い、たしかな目利きで高鮮度・高品質な魚を全国の市場に送ってきた。近年では、より高付加価値な商品や利便性へのニーズに応え、自社で加工場と建設し、原料の買付から製造・販売まで一貫したトレースの取れる体制を確立。生産、加工、流通、消費までの一連の流れのなかで、川上から川下までの“インテグレーション”(垂直統合)を目指している。

 現在、同社が中期計画で3本柱として据えているのが、「加工品の増加」と「海外との輸出入取引の強化」と「新しい形態の冷凍保存技術の確立」。そのうち、新しい形態の冷凍保存技術とは、製氷機製造を手がけるアイスマン(株)(福岡県久留米市)とタイアップして取り組む「ソルトアイシング凍結技術」のこと。この技術は、アイスマンが16年2月に開発したもので、マイナス21度まで冷却した飽和食塩水に水産物を浸し、瞬間的に凍結するもの。サバなどの魚であれば30分以内、マグロでも3時間半程度と、従来の一般的な凍結方法に比べて20倍程度という格段に早いスピードで完全凍結が可能だ。また、この技術は単に凍結までの時間を短縮するだけではない。水産物の温度を急速に低下させることで、凍結の際の水分の膨張で魚の体液が流出するドリップ現象を抑え、高い鮮度を維持したままの冷凍保存が可能になる。このソルトアイシング凍結技術を活用した新たな製品の開発のほか、将来的には同技術のハード(機械)の販売代理なども視野に入れる。

 また、これまでは買参権の取得などで拡大を図ってきた同社だが、今後はM&Aも選択肢に入れていく。新規事業としては、養殖ウナギや養殖ヨコワ(クロマグロの幼魚)などに取り組むほか、将来的には漁船の取得も行い、漁業の分野に挑戦したいとの構想も――。

 「“人が会社を大きくする”というのが私の信条。おかげさまで我が社にも有能な人材が集まり、頼もしく育ってくれています。これまで取り組んできたことは、あくまで通過点であり、今後も“ゴール”というものはありません。外部環境に左右されることなく、置かれた状況で最善の道を模索し、挑戦を続けていきます」(長谷代表)。

 グループでさらなる“挑戦”をし続ける、同社の今後に注目したい。

(了)
【坂田 憲治】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:長谷 幸一郎
所在地:福岡市中央区長浜2-3-6
設 立:1992年4月
資本金:1,000万円
売上高:(17/3連結)300億円(見込み)
TEL:092-718-7834
URL:http://www.sanyo-jp.com/

 
(中)

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